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戦国BASARA・腐向け・サスダテ中心・本館(サササケ)を見ている方向け。
女体化とか幼児化とか遠慮なく出てきますのでご注意ください。


妄想が(M)延々と(E)洩れておりますな(M)お館さヴァア(O)!!!



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04.08.Wed  
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閑話休題から入りますが、『十年ハロウィン』は①~③まで去年のハロウィン部屋に掲載されています。topかnovelのカボチャ釦からどうぞ!


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十年前のこと。
政宗が治療を受けていたその病院には、名物の若い医者が二人いた。
ひとりは白い肌に茶色がかった黒髪、雛人形のように整った顔立ちの細身の男。怜悧に光る目が患者に恐れられつつも、あれが名医の眼光と言われれば誰もが納得する実力を持っている。上の信任はもちろん、何よりその腕に患者やスタッフからの信頼が厚い外科医。
名を、毛利元就。
もうひとりは、これも肌の色は白い。だが翻した髪の銀色と逞しい体つきは、むしろ白いライオンを連想させる。紫の眼帯なぞ左目につけているから、医者の白衣はますます似合わない。それでも親身の診療と快活な兄貴肌のキャラクターで、患者や同僚どころか町中の人間に慕われている小児科医。
名を、長曾我部元親。
対照的な個性をもつふたりの医師は、同居までする友人同士であるらしい。
「飯はどっちが作るんだ?」
「食事はここの食堂で事足りる」
「パンとかチーズとか缶詰ぐらいはあるけどな。台所はしっかりしてやがるのに、毛利なんか卵も焼けねえぞ」
政宗の質問に、元就は無表情に、元親はカラカラと笑いながら答えた。
その陽気な笑顔を睨んで舌打ちし、元就は政宗の右目をのぞき込む。
「我が質問を許すと言ったのは、貴様の今後の治療についてだ」
「Oh,sorry doctor.今朝もあんまり痛くねえんだ。――なあ、おれ、退院したら料理なんかもchallengeするぜ」
「先週は鷹狩りがしたいと言っていたであろう」
憮然とした顔で、だが元就は子どもの話を折りもしない。
「いいんじゃねえか?その前は乗馬だったし、馬に乗って狩したら、次は獲物の料理だろ」
釣りもお勧めだぜ!
元親は笑顔のまま、政宗の黒髪を大きな手でかき回す。
「OkayDokay,あんたたちの家に行って、すげえもん作ってやるからな」
「おうよ、期待してるぜ?」
「生半可なものは口にせぬぞ」
周りの大人から見れば毛利元就は政宗の主治医で、長曾我部元親は小児のオブザーバーであっただろう。
政宗にとっては年上の友人だった。今でもそのつもりだ。
――手料理を食わせてやる、という約束は果たされていない。
だが、やっと入院生活から離れることのできた政宗は今、二人が住んでいた家で腕を振るっている。
どうやら家主は元就の方だったようだ。あの病院があった町で暮らしたいと言ったら、渋い顔をしながらも格安で貸してくれた。
戻ってきた政宗を待っていたのは、病院が燃え落ちていたという事実と。
二人に――毛利元就にまつわる、奇妙な噂話。


出火の原因は不明だった。使われていないはずの一室から燃え広がったその炎に、最初に気づいたのは、毛利元就だったのだと。
――いや、当直の長曾我部先生だったはずだと言う者もある。
オレンジ色の炎がなめつくす中、普段は冷静で、時として計算高くさえ見える元就が、院内を駆け回り声を枯らして患者を救ったのだと。
――無論、長曾我部先生もそうしたはずだと言う者もある。
火は止まらぬ、消火活動など後にして動けぬ者を運べ。そう叫ぶ声が響いたと。
――最新の病院だ、防火壁などもあったはずだが、と言う者もいる。
いずれにせよ、ほとんどの患者とスタッフが、軽度の火傷だけで逃げ延びることができた。
――保険金も随分とおりたらしい、と囁く者もいる。
ただ一人、毛利元就だけは、背中から首筋まで大火傷を負った。
――に、違いない。
毛利先生を背負った長曾我部先生が中庭に転がりでてくるのを、見た人間が何人もいる。
焦げた白衣の下に、赤黒く腫れた背を見たと、そう言う者もいる。
その後、廃墟になった病院がそこに再建されることはなく、患者たちは町の反対側の大病院に引き取られた。
院長をはじめとする数人のスタッフ――二人の医師も、町を去った。
――町を去る前に、毛利医師に会った。その首すじに、火傷の痕などなかった、と言う者がいる。


政宗がこの町で耳にした噂は、大きくみっつの色に分かれた。
ひとつ。
冷たく見える毛利医師だったが、火事の中必死に人命を救ったのだ。火傷は長曾我部先生の処置がよかったのだろう。人は見た目によらない、命の尊さを知る素晴らしい医師だ――そんな、温かな色の噂。
ひとつ。
火事の中で奮闘したのは長曾我部医師であり、毛利医師の評価には尾鰭がついている。その証拠に、火傷の痕などなかったじゃないか。不審な火事で、保険金から随分な額がスタッフに支払われたらしい。特に、毛利元就に。――そんな、懐疑的な色の噂。
最後のひとつ。

毛利医師は確かに背に火傷を負った。しかし、確かにそれは消えていた。きれいに消えていた。あの火事には不審な点が多い。大きな蝙蝠の影を見た者がいるという。昔から町に伝わる魔物の伝説。病院もなくなり、彼の経歴を知っている人間がいない。――もしや。
毛利元就は、人ならざる者だったのではないか?と。


最後のひとつが、ひときわ愉快だ。
政宗は笑った。
――確かに元就ならVampireの衣装もよく似合うだろう。
だからと言ってあんなに非力で日光浴が日輪信仰の域に入った吸血鬼がいてたまるものか、と政宗は思うのだが。
怪奇趣味の人間か年寄りか、年端もいかない子ども、遠目にその白い肌の怜悧な姿を見ただけの人間たちが、そんな噂をひそひそと囁いている。
元就の傲岸不遜な態度、冷たい物言いを知る大人たちは訳知り顔で――誰が得をしたか分かるだろう?と、思わせぶりに。
かと言って、あまりに聖人君子の冠をかぶせたがる噂も政宗にはいただけない。元就が手術を担当し命を救った人間に多い意見であるのは心温まるが――かえって、夢を見すぎだとも言いたくなる。
元就の首筋から背中に火傷の痕があるかどうかは、政宗の預かり知らぬところだ。
しばしば髪で隠されているし、帰国して顔を合わせたときもなんら違和感はなかった。
――十年も会っていなかったから、それなりに老けているだろうと想像していた。それがあまり変わって見えなかったのは、肩すかしだったが。
あるいはそんな風に、年すらとって見えないから、おもしろおかしい噂の的にされているのかもしれない。
「よっぽどStress freeな生活してるんだろうな」
『…まあ、お前さんのお目付役ほどストレスフルじゃねえけどよ』
電話向こうのしゃがれた声。
こちらも大して変わって見えなかった元親は、学生時代から政宗の右目を名乗りお守りを務める男を揶揄して笑う。
『本当にそこで一人暮らしする気か?右目のやつの胃に穴が空く日も近いな』
「自分の面倒は自分で見られる生活がしたいんだ」
『あー、毛利の家周り、雑木林だろ。暗くて危ねえから日が沈みかけたらもう家出るなよ』
それこそ過保護なお目付役の台詞を言う元親に、政宗は苦笑した。
「Hey,日暮れ前となると俺の門限は何時だ」
『そりゃ季節次第だ』
言うだろほら、逢魔時って。
大真面目な声にさらに笑った。
「噂の毛利は街にいねえだろ、どこの魔物に注意しろって?」
『……毛利なあ、何だってあの日輪好きが吸血鬼とか言われてるんだか……あいつ、洗礼名までもってるんだぞ。サンデー毛利っての』
「Really!?」
冗談を言う声ではないから政宗は腹を抱えて笑ったものだ。
笑いすぎて、その後の話はほとんど覚えていない。
――ただ、話さなかった、聞かれなかったのは確かだ。


十年前、まだ幼い政宗が出会った《影》のこと。
入院棟最上階の部屋に、扉を使わず現れて、政宗の右目の痛みを食らっていった、
それを夢だと断じた大人の中で、ただ元親だけが、こう言ったのだ。


『……夢でないなら、余計に、忘れた方がいいかもしれねえ』








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