戦国BASARA・腐向け・サスダテ中心・本館(サササケ)を見ている方向け。
女体化とか幼児化とか遠慮なく出てきますのでご注意ください。
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コタミネーターです。
(こっちが調子よく書けてる場合じゃないのよおおお馬鹿あああ)
さておき、前2回分はこの下、それ以前の分はnovelにまとまってます。
注意事項
※政宗さまが女性
※政宗さまが幸村の母上
※幸村と元親は少年世代
※佐助については聞かない約束
下の分も後ほど追記に畳みます……いや本当に……スクロールバーがどんどん小さくなる……
(畳みました~)
▼▼▼
その音は、台所にいた元親の耳にも異様に響いた。
ひとつは確かに、ガラスが割れる音。重なって、何か鈍い音が。
――泥棒か!?
考えるより先に元就の仕事部屋に向かった。
その元親の足を射すくめるような轟音がさらに響く。ガラスが割れる甲高い悲鳴だけではない、それはまるで、まるで――。
「元就!」
ドアに体当たりするように駆け込めば、さっきまで元親が遊んでいた場所は、滅茶苦茶だった。
照明はすべて消えている。四角く落ちる廊下の灯りに、散っているのが窓ガラスの欠片ばかりではないのはすぐに分かった。液晶の残骸や蛍光灯の破片、木片が、角をえぐられたような机の、その足下にまで――。
(元就!)
もはや声にならない叫びを喉に、元親は倒れ伏した男のそばに駆け寄った。
「おい!なんだこれ!?」
「……ちか……」
わずかに身じろいだ元就の、手で押さえ込んだ左肩から、どんどん広がっている紅い色。
「血、血が、元就、あんた」
「……逃げろ、」
「う、うたれたのか?うたれたんだな!?」
「…うるさい…」
「うるさい!?」
苦しげな吐息混じりに、元就はずるりと身を起こし、また痛みが走ったように顔を歪めた。
――肩以外に怪我はない。でもこんなに血が出ていたら。
「早く、行けと言うのが分からぬか……!」
「何だよ何言ってんだよ、あんたもいっしょだろ?」
早く立てよ、とシャツをつかむ元親を押しのけて、元就はギロリと背後の窓を睨む。
ざ、ざ、ざ。
草を踏む音に、元親もやっと気づいた。
――来る。
逃げなければ。
「元就、ッ」
ガッと窓枠の残骸を踏んだ影は、そのままひらりと暗い部屋の中に飛び降りた。
――ひとりだ。
元親を押しのけた元就の腕が、肩が、そのまま元親を影から隠す。
月明かりにその影は、大きくはない。元就ほどに――否、もっと細い。
ガチャン、とその細い腕に似合わぬサイズの、銃が音をたてた。
――テレビで見る拳銃より大きい、きっと機関銃だろう。撃たれてしまう。殺されてしまう。元就が。
「……貴様、何が目的か」
その元就が、低くはっきりとした声を影に向けた。
目的?
影がつぶやく。
――女の声だ。
「Ha,あんたに……今のあんたに言っても、たぶん、わかりゃしねえ」
「金なら、ここにはない」
「金じゃねえ。悪いが、欲しいのはあんたの命だ」
女に違いないのに男のような口調で、酷く静かに、影は宣告した。
「……では、まず、ここにいる子どもを逃がせ。我の命はその後とるがよい」
影は、いっしゅん瞬きをしたようだった。
片目は隠しているのか、片目だけが金色に、場違いな星のように瞬いた。
「――なら、さっさと行かせるんだな」
苦々しく顎を振る。
「元親、」
押し殺したような声に呼ばれて元親は、我に返った。
鼻の奥から喉まで冷えて、腹の底がカッと熱くなる。
「な……なに、なに言ってる、命だ!?ふざけんな!!」
「元親……!」
這うように元就の前に進んで、腕を張った。
「元就が何したってんだ!帰りやがれ!!」
「……これからするんだよ、そいつは」
ぼそり、と掠れた女の声に、元親の後ろで元就が「フン」とわずかに鼻を鳴らす。
「そんなところだろう……この手の狂信者の口から、まともな理由が、…聞けたためしがない」
「ばかやろう、元就、よけいなこと言うんじゃねえ!」
だが怒るかと思った影は、じっとふたりを見つめて動かない。
「……そうだな。おれは、ただの狂信者だ……」
ただ静かに、いっそう静かに、そうつぶやいて。
「早くガキをどかせ」
銃口を向けたまま、金の眼でじっと見つめてくる。
「行け、元親」
「……ぃやだ……」
「行け」
「いやだ!」
「元親!」
「いやだいやだいやだ!約束しただろうがよ!?」
叫べばぼろぼろと涙が零れた。
――銃なんか怖くない。こんな女怖くない。
怖いわけではない。なのに涙は止まらない。
「何が約束だ、海なぞ誰にでも――」
「いやだ!」
パキン、と女が踏んだガラスの欠片が小さく鳴った。
「あんたが死んだら、だれがおれといっしょに飯食ってくれんだよ……」
目の前が霞んで、影の顔はもう分からない。
元親はただいっぱいに腕を突っ張った。
バラバラバラ、と、夜闇にあまりにも軽く響く音を聞きつけ、幸村は道の先の一軒家を指さした。
「あそこにござる!」
孫市に借りたバイクのアクセルを踏み込み、風魔はスピードをあげる。
――床にぶつけた頭が痛い。
元就に引きずり倒されたのだと気づき、多い被さる細身に文句を言おうとして、元親は――もっと悪い可能性にいきあたった。
「……元就?」
「……」
「お、おい、元就!」
騒ぐな、と小さな呟きが帰る。元就は左肩をかばうように身をよじりながら、窓の方へ振り返った。
襲撃者は――その銃口を、天井に向けている。
見開かれた目の中の、満月のような金色の眼。
その視線は揺らがないまま、カタカタと震えはじめたのは、腕だったのか脚だったのか。
「――ッ!」
小さな悲鳴あげて、まるで自分が撃たれたかのように、影はその場に崩れ落ちた。
ギョッとして見つめれば、影は何か呟きながら、震えを押さえ込むように、膝を抱え込んだ。
「……け、……すけ、…て……」
押さえきれない震えは声まで嗚咽にかえて、隠すことさえできず、元親の耳に届いた。
――まるで、小さな迷子の女の子だ。
「――元就」
「……」
「あいつ、泣いてる……」
元親の言葉にか、痛みにか、元就は顔をしかめながら身を起こす。
その背中を――パッと、光が、照らした。
「しつれいいたす!こちらは毛利どのの研究所にござろうか!?」
身を固くした元親と元就の耳に届いたのは、子どもの声だった。
光は懐中電灯だろう。答えも待たずにぐるりと巡らせ、膝を抱えた影を照らし出す。
「政宗どの!」
小さな影は叫ぶと窓枠を乗り越え、今なお銃器を手放してはいないその影に駆け寄った。
「政宗どの、早まってはなりませぬ――。風魔!」
呼びかけに、ぬっと姿を現したのは、こんどは丈高い男だ。元親は身構えたが、小さな――少年の方は、「政宗どのに撃たせるな」と言いおいて、元親たちへと振り向いた。
「ケガをされておりますな?」
暗がりにも爛々と光る両目が、まっすぐに元親を見る。
「元就が、元就のやつが肩を」
「肩だけにござるか」
「……ああ」
呻くようにうなずいた元就に、少年はホッと息をついたようだ。
「それはよかった」
「よくねえよ!!」
元親が叫べば、「も、もうしわけござらん」と恐縮したように背筋を伸ばす。
「弾はぬけてござるな。まずは止血を。灯りのある部屋へおつれいたそう」
元就の懐中電灯で照らし、「風魔、」と後ろに顔を向けて。
「毛利どのをべつの部屋へ――左肩を動かさぬように。こちらの方の指示にしたがえ」
「……」
少年の言葉に、うずくまる女の前に立ちはだかっていた影が、無言でうなずく。
元親たちに近づけば、廊下の灯りで――血のような紅色の赤毛に、幅広のゴーグルをつけているのが見えた。
少年は『政宗どの』にそっと近づいて、「もう大丈夫でござる」と優しく言った。
「幸村……」
「はい、」
「For give me,」
わかっております、と少年は答える。
――襲ってきたのはあいつなのに。
なのに、元親は少年の答えにホッとしている自分に、気づいた。
廊下に出れば、ただの照明が酷くまぶしい。紅赤毛に抱えられた元就の血で汚れたシャツが、痛々しかった。
「こっちの部屋だ」
「……」
隣の、元親の部屋のドアを開ける。男は無言のまま進み、立ち止まった。
――おれの指示に従うんだっけか。
元親は自分のベッドを指さす。
「そこに元就をおろしてくれ、ケガしてる方が上で、そっとな」
薬箱を持って戻れば、灯りのついたいつもの部屋に、血で染まった元就は非現実的だ。
「なあ、止血ってどのくらいきつくすりゃいいんだ?あんた、わかるか?」
タンスからタオルを出して聞けば、男はうなずく。
「じゃあ、やってくれ」
「……」
あくまでも無言だが、元親の言葉は間違いなく理解しているらしい。
ガーゼやら薬やらを薬箱から選び出し、呻く元就の左肩を手早くタオルで固定していく。
「痛ぇか?」
「……痛いに決まっている……」
憮然とつぶやく元就の顔は青い。だが、目を見開いた元親をチラリと見ると、「死ぬほどではあるまい」とぼそりと付け加えた。
「……それより、奴らに、気を許すでないぞ」
処置を終えた紅赤毛は腕を組み、じっと立っている。
少年の言うことに従っていたことといい、どこか番犬めいた姿だ。
「でもよお、元就……」
あの、固いしゃべり方をする少年の言葉に、女はすでに思いとどまったのではないか。
――もしかしたら、その前に、すでに。
『……すけ、…て……』
「あいつ――助けて、って言ってなかったか?」
フン、と元就は、馬鹿にするように鼻を鳴らした。
「人を撃っておいて『助けて』か、図々しい」
皮肉気に薄い唇を曲げる顔が、すっかりいつもの調子に見えて、元親は安堵しつつ隣に腰を下ろす。
「そりゃ、そうかもしれねえけどよ」
「それに――我にはそうは聞こえなかった」
考えるように、元就は仕事場の方の壁に目を向けた。
「男の名でも、呼んでいるかと思ったがな」
――手を、離すな。
(情けねえ……)
できると思った。撃てると思った。殺せると――そんなやり方で、未来が変えられると?
「政宗どの……ご心配めされるな」
それがしはあのようなやからに首をとられたりはしませぬ。審判の日まで、まだ時間もござりまする。きっと、他に方法もございましょうぞ。
「政宗どのは、政宗どのの信念を手放すことはないのでござる」
顔を上げられない政宗の髪を、温かな手がなでる。
「……信念、か」
――そんな大層なものがあっただろうか。
「おれはただ、戦うことを考えてきただけだ」
「はい。政宗どのはいつも、ご自分だけが戦い、御身をキケンにさらす道ばかりをえらんでござる。だから、それがしは、いつかともに戦えるようにとキタえてくださること、この上なく誇りに思いまする」
だから、だれかの命で、政宗どのいがいの者たちの――それがしの未来を、あがなうことなど、ないのでござる。
さあ、と促されて顔を上げれば、家の灯りを背に、幸村の小さな手が差し出されている。
政宗は、左目をぬぐって、わずかに笑って見せた。
影になった幸村の顔は、それでも、答えるように笑みを咲かせた。
人の命を犠牲にしても、人が死ぬ未来を変える。敵の機械たちの方がよほど筋の通った行動をするだろう。矛盾したやり方は――まるで、あいつと同じだ。
政宗は幸村の手をにぎり、立ち上がる。
――あのガキは、幸村と同じくらいの年だろうか。
銀髪に左目の眼帯。あんな子どもがいるとは調査書になかった。
残された時の感情が痛烈によみがえる。
(手を離すな……)
佐助、…佐助、…手を離すな。
▲▲▲
つづく
(こっちが調子よく書けてる場合じゃないのよおおお馬鹿あああ)
さておき、前2回分はこの下、それ以前の分はnovelにまとまってます。
注意事項
※政宗さまが女性
※政宗さまが幸村の母上
※幸村と元親は少年世代
※佐助については聞かない約束
下の分も後ほど追記に畳みます……いや本当に……スクロールバーがどんどん小さくなる……
(畳みました~)
▼▼▼
その音は、台所にいた元親の耳にも異様に響いた。
ひとつは確かに、ガラスが割れる音。重なって、何か鈍い音が。
――泥棒か!?
考えるより先に元就の仕事部屋に向かった。
その元親の足を射すくめるような轟音がさらに響く。ガラスが割れる甲高い悲鳴だけではない、それはまるで、まるで――。
「元就!」
ドアに体当たりするように駆け込めば、さっきまで元親が遊んでいた場所は、滅茶苦茶だった。
照明はすべて消えている。四角く落ちる廊下の灯りに、散っているのが窓ガラスの欠片ばかりではないのはすぐに分かった。液晶の残骸や蛍光灯の破片、木片が、角をえぐられたような机の、その足下にまで――。
(元就!)
もはや声にならない叫びを喉に、元親は倒れ伏した男のそばに駆け寄った。
「おい!なんだこれ!?」
「……ちか……」
わずかに身じろいだ元就の、手で押さえ込んだ左肩から、どんどん広がっている紅い色。
「血、血が、元就、あんた」
「……逃げろ、」
「う、うたれたのか?うたれたんだな!?」
「…うるさい…」
「うるさい!?」
苦しげな吐息混じりに、元就はずるりと身を起こし、また痛みが走ったように顔を歪めた。
――肩以外に怪我はない。でもこんなに血が出ていたら。
「早く、行けと言うのが分からぬか……!」
「何だよ何言ってんだよ、あんたもいっしょだろ?」
早く立てよ、とシャツをつかむ元親を押しのけて、元就はギロリと背後の窓を睨む。
ざ、ざ、ざ。
草を踏む音に、元親もやっと気づいた。
――来る。
逃げなければ。
「元就、ッ」
ガッと窓枠の残骸を踏んだ影は、そのままひらりと暗い部屋の中に飛び降りた。
――ひとりだ。
元親を押しのけた元就の腕が、肩が、そのまま元親を影から隠す。
月明かりにその影は、大きくはない。元就ほどに――否、もっと細い。
ガチャン、とその細い腕に似合わぬサイズの、銃が音をたてた。
――テレビで見る拳銃より大きい、きっと機関銃だろう。撃たれてしまう。殺されてしまう。元就が。
「……貴様、何が目的か」
その元就が、低くはっきりとした声を影に向けた。
目的?
影がつぶやく。
――女の声だ。
「Ha,あんたに……今のあんたに言っても、たぶん、わかりゃしねえ」
「金なら、ここにはない」
「金じゃねえ。悪いが、欲しいのはあんたの命だ」
女に違いないのに男のような口調で、酷く静かに、影は宣告した。
「……では、まず、ここにいる子どもを逃がせ。我の命はその後とるがよい」
影は、いっしゅん瞬きをしたようだった。
片目は隠しているのか、片目だけが金色に、場違いな星のように瞬いた。
「――なら、さっさと行かせるんだな」
苦々しく顎を振る。
「元親、」
押し殺したような声に呼ばれて元親は、我に返った。
鼻の奥から喉まで冷えて、腹の底がカッと熱くなる。
「な……なに、なに言ってる、命だ!?ふざけんな!!」
「元親……!」
這うように元就の前に進んで、腕を張った。
「元就が何したってんだ!帰りやがれ!!」
「……これからするんだよ、そいつは」
ぼそり、と掠れた女の声に、元親の後ろで元就が「フン」とわずかに鼻を鳴らす。
「そんなところだろう……この手の狂信者の口から、まともな理由が、…聞けたためしがない」
「ばかやろう、元就、よけいなこと言うんじゃねえ!」
だが怒るかと思った影は、じっとふたりを見つめて動かない。
「……そうだな。おれは、ただの狂信者だ……」
ただ静かに、いっそう静かに、そうつぶやいて。
「早くガキをどかせ」
銃口を向けたまま、金の眼でじっと見つめてくる。
「行け、元親」
「……ぃやだ……」
「行け」
「いやだ!」
「元親!」
「いやだいやだいやだ!約束しただろうがよ!?」
叫べばぼろぼろと涙が零れた。
――銃なんか怖くない。こんな女怖くない。
怖いわけではない。なのに涙は止まらない。
「何が約束だ、海なぞ誰にでも――」
「いやだ!」
パキン、と女が踏んだガラスの欠片が小さく鳴った。
「あんたが死んだら、だれがおれといっしょに飯食ってくれんだよ……」
目の前が霞んで、影の顔はもう分からない。
元親はただいっぱいに腕を突っ張った。
バラバラバラ、と、夜闇にあまりにも軽く響く音を聞きつけ、幸村は道の先の一軒家を指さした。
「あそこにござる!」
孫市に借りたバイクのアクセルを踏み込み、風魔はスピードをあげる。
――床にぶつけた頭が痛い。
元就に引きずり倒されたのだと気づき、多い被さる細身に文句を言おうとして、元親は――もっと悪い可能性にいきあたった。
「……元就?」
「……」
「お、おい、元就!」
騒ぐな、と小さな呟きが帰る。元就は左肩をかばうように身をよじりながら、窓の方へ振り返った。
襲撃者は――その銃口を、天井に向けている。
見開かれた目の中の、満月のような金色の眼。
その視線は揺らがないまま、カタカタと震えはじめたのは、腕だったのか脚だったのか。
「――ッ!」
小さな悲鳴あげて、まるで自分が撃たれたかのように、影はその場に崩れ落ちた。
ギョッとして見つめれば、影は何か呟きながら、震えを押さえ込むように、膝を抱え込んだ。
「……け、……すけ、…て……」
押さえきれない震えは声まで嗚咽にかえて、隠すことさえできず、元親の耳に届いた。
――まるで、小さな迷子の女の子だ。
「――元就」
「……」
「あいつ、泣いてる……」
元親の言葉にか、痛みにか、元就は顔をしかめながら身を起こす。
その背中を――パッと、光が、照らした。
「しつれいいたす!こちらは毛利どのの研究所にござろうか!?」
身を固くした元親と元就の耳に届いたのは、子どもの声だった。
光は懐中電灯だろう。答えも待たずにぐるりと巡らせ、膝を抱えた影を照らし出す。
「政宗どの!」
小さな影は叫ぶと窓枠を乗り越え、今なお銃器を手放してはいないその影に駆け寄った。
「政宗どの、早まってはなりませぬ――。風魔!」
呼びかけに、ぬっと姿を現したのは、こんどは丈高い男だ。元親は身構えたが、小さな――少年の方は、「政宗どのに撃たせるな」と言いおいて、元親たちへと振り向いた。
「ケガをされておりますな?」
暗がりにも爛々と光る両目が、まっすぐに元親を見る。
「元就が、元就のやつが肩を」
「肩だけにござるか」
「……ああ」
呻くようにうなずいた元就に、少年はホッと息をついたようだ。
「それはよかった」
「よくねえよ!!」
元親が叫べば、「も、もうしわけござらん」と恐縮したように背筋を伸ばす。
「弾はぬけてござるな。まずは止血を。灯りのある部屋へおつれいたそう」
元就の懐中電灯で照らし、「風魔、」と後ろに顔を向けて。
「毛利どのをべつの部屋へ――左肩を動かさぬように。こちらの方の指示にしたがえ」
「……」
少年の言葉に、うずくまる女の前に立ちはだかっていた影が、無言でうなずく。
元親たちに近づけば、廊下の灯りで――血のような紅色の赤毛に、幅広のゴーグルをつけているのが見えた。
少年は『政宗どの』にそっと近づいて、「もう大丈夫でござる」と優しく言った。
「幸村……」
「はい、」
「For give me,」
わかっております、と少年は答える。
――襲ってきたのはあいつなのに。
なのに、元親は少年の答えにホッとしている自分に、気づいた。
廊下に出れば、ただの照明が酷くまぶしい。紅赤毛に抱えられた元就の血で汚れたシャツが、痛々しかった。
「こっちの部屋だ」
「……」
隣の、元親の部屋のドアを開ける。男は無言のまま進み、立ち止まった。
――おれの指示に従うんだっけか。
元親は自分のベッドを指さす。
「そこに元就をおろしてくれ、ケガしてる方が上で、そっとな」
薬箱を持って戻れば、灯りのついたいつもの部屋に、血で染まった元就は非現実的だ。
「なあ、止血ってどのくらいきつくすりゃいいんだ?あんた、わかるか?」
タンスからタオルを出して聞けば、男はうなずく。
「じゃあ、やってくれ」
「……」
あくまでも無言だが、元親の言葉は間違いなく理解しているらしい。
ガーゼやら薬やらを薬箱から選び出し、呻く元就の左肩を手早くタオルで固定していく。
「痛ぇか?」
「……痛いに決まっている……」
憮然とつぶやく元就の顔は青い。だが、目を見開いた元親をチラリと見ると、「死ぬほどではあるまい」とぼそりと付け加えた。
「……それより、奴らに、気を許すでないぞ」
処置を終えた紅赤毛は腕を組み、じっと立っている。
少年の言うことに従っていたことといい、どこか番犬めいた姿だ。
「でもよお、元就……」
あの、固いしゃべり方をする少年の言葉に、女はすでに思いとどまったのではないか。
――もしかしたら、その前に、すでに。
『……すけ、…て……』
「あいつ――助けて、って言ってなかったか?」
フン、と元就は、馬鹿にするように鼻を鳴らした。
「人を撃っておいて『助けて』か、図々しい」
皮肉気に薄い唇を曲げる顔が、すっかりいつもの調子に見えて、元親は安堵しつつ隣に腰を下ろす。
「そりゃ、そうかもしれねえけどよ」
「それに――我にはそうは聞こえなかった」
考えるように、元就は仕事場の方の壁に目を向けた。
「男の名でも、呼んでいるかと思ったがな」
――手を、離すな。
(情けねえ……)
できると思った。撃てると思った。殺せると――そんなやり方で、未来が変えられると?
「政宗どの……ご心配めされるな」
それがしはあのようなやからに首をとられたりはしませぬ。審判の日まで、まだ時間もござりまする。きっと、他に方法もございましょうぞ。
「政宗どのは、政宗どのの信念を手放すことはないのでござる」
顔を上げられない政宗の髪を、温かな手がなでる。
「……信念、か」
――そんな大層なものがあっただろうか。
「おれはただ、戦うことを考えてきただけだ」
「はい。政宗どのはいつも、ご自分だけが戦い、御身をキケンにさらす道ばかりをえらんでござる。だから、それがしは、いつかともに戦えるようにとキタえてくださること、この上なく誇りに思いまする」
だから、だれかの命で、政宗どのいがいの者たちの――それがしの未来を、あがなうことなど、ないのでござる。
さあ、と促されて顔を上げれば、家の灯りを背に、幸村の小さな手が差し出されている。
政宗は、左目をぬぐって、わずかに笑って見せた。
影になった幸村の顔は、それでも、答えるように笑みを咲かせた。
人の命を犠牲にしても、人が死ぬ未来を変える。敵の機械たちの方がよほど筋の通った行動をするだろう。矛盾したやり方は――まるで、あいつと同じだ。
政宗は幸村の手をにぎり、立ち上がる。
――あのガキは、幸村と同じくらいの年だろうか。
銀髪に左目の眼帯。あんな子どもがいるとは調査書になかった。
残された時の感情が痛烈によみがえる。
(手を離すな……)
佐助、…佐助、…手を離すな。
▲▲▲
つづく
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