戦国BASARA・腐向け・サスダテ中心・本館(サササケ)を見ている方向け。
女体化とか幼児化とか遠慮なく出てきますのでご注意ください。
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久々ですが5A式、自分の首を絞めるべく連載開始します。不定期です。(←いつも通り!)
二月のお話になります。
5A式ってなによと仰る方は、novelSFパラレルの『閃国BASARA』頁をご覧いただければと思います。
(簡単に言うと佐助がヒューマノイドで作ったのが天才科学者の政宗様で転生モノでオールキャラです)
(あと佐助が見た目10歳です)
というわけで追記に載せていきます~。
5A式はマシュマロ・スノーマンと密談する
その人は白い雪の中にいた。
長い冬の中にいた。
深い深い雪に閉ざされる、冬。
けれどきっと、囚われているのではない。
雪でできたような肌は、彼がここで生まれ育ったためだろう。
『あんたは本当にここが好きだね』
――ここ、とは何処のことか。
『ここが好きで、ここの人たちが好きで、大切なんだろう?』
すると、その人はニイと笑う。
金の眼が月明かりのように光る。
『Yes.お前やあいつが、あの国を思うのと同じくらいにはな』
『それはどうかな』
あんたはだって、立場が違う。
あんたはこの国の一番で、あんたにとってはこの国が一番で、それを守る仲間が、一番。
――一番。
そして、俺は、その中には入れない。永遠に。
――どの中に?
夢のつづきのように、息を止めていた。
体はぴたりと固まって、物か何かになってしまったように。
瞼を、おろして、はじめて開いていたことに気づく。闇の中。
二月の夜明けは、まだ遅い。
雪が分厚く高さを増し、すべての音を吸い込んで、静寂と闇で辺りを包み込む。
そっと、指をにぎる。
じわりと染みる熱が、すぐそばにあることに気づく。
――政宗。
凍りついた空気を破るように、そっとその熱に近づけば、静かな寝息があって。
途端にそこは、いつもの寝室のいつものベッドになって、彼はいつも通りに政宗の隣に寝ているのだった。
冷たい喉から息を吐いて、枕元に手を伸ばす。
時計を弾いて針を表示させれば、時刻はまだ明け方より一時間も前。それでももう目覚ましが鳴るまで幾ばくもない。
「政宗」
「……ぅん…?」
「まさむね、」
おれが入れない場所って、どこ?
どんな夢だったのかもすでに思い出せないのに、目覚める瞬間に過ぎった想いだけが、強く強く残っている。
彼が、サスケが、踏み入ることの出来ない場所。
寝起きの悪い青年は、果たして瞼を開いたかも定かでない。
ただ、その手は、サスケのオレンジ色の髪をくしゃりとかき回した。青年が、政宗が、好んで選んだ橙赤毛。
耳を掠める指が熱い。
「……俺のBedにまで潜り込んどいて、」
なに寝ぼけてんだ、お前。
かすれた声が耳に優しい。
――それだけで、吐く息まで温かくなった気がした。
「うん、そうだね」
ごめんね起こしちゃって。
その顔の辺りに当然のように口づけて、サスケは目覚ましの予約を五分遅らせた。
BASARAタワー。『閃』の中心に位置する巨大な学術都市。塔のような地上層と掘り下げられた地下層、その巨大な建築構造物のすべてが研究施設であり、『閃』に散らばるどの学術市よりも大きな規模を誇っている。
医療棟はその中心から、東に伸びるように位置していた。
慣れた人間であれば高速チューブから降りる口を東に探す。そしてさらに慣れた人間であれば、外来の広々とした通路を通ってくる。
小児科ドクター前田慶次、そう書かれたネームプレートを確認して無遠慮にノック。
「はいよー…っと?」
返事があるが早いか、政宗はドアを開いた。
「Sorry慶次、遅れた」
「や、別にこっちは大丈夫だけど」
部屋の主が驚いたように瞬いたのは、髪もバサバサで焦った様子の友人にか、その腕に荷物のように抱えられた少年にか。
「おはよう政宗、サスケ」
すぐににかっと笑って前田慶次は、マサムネ・T・ダテ博士と彼の作ったヒューマノイド、甲斐原理統合5A式――サスケに、手を振ってみせる。
「スーツ珍しいな、初めて見た。似合ってる」
「そんなphraseは女に言ってやれっ」
「ってかまさむね!下ろして!おれ歩けるよ!?」
「Oh,sorry」
軽く謝って腕から下ろしてやると、荷物は「まさむねったらひどいおれさま超はずかしかった」と顔を手で覆ってみせる。
しかし政宗が手段を選ばぬほど切羽詰まっているのは、ぷるぷると震えるこのオレンジ赤毛のせいなのだった。
嫌がる少年を抱きかかえたまま小児科の医師の元へ。それはこの少年型ヒューマノイドに何かあったから――ではなく。
「確かに目覚ましかけ直そうとして時計の針一時間も遅らせちゃったのはごめんなさい、けどあんなはずかしめをうけるいわれはないはずだ!」
――辱めって。
(どこで覚えるんだ、本当に)
小さな拳をにぎって抗議する赤毛をワシャワシャとかき回して、「悪かった悪かった」と政宗は心にもない謝罪を繰り返す。
「とにかく俺もう行くからな、悪いが慶次、あと任せた」
「はいよー」
「あ、待って」
子どもの声に引き留められ、手を伸ばすのにつられてかがみこんだのが失敗だった。
「いってらっしゃいっ」
ちゅ。
「……」
ごん。
「痛い!」
――そんなに痛いはずはない。
「よしよし。行ってくるぜ、いいこにしてろよ」
軽く殴った頭を適当になでて、政宗はそれ以上は追求しないことにした。
「言っとくけど、人前じゃなきゃほっぺをにチューぐらいで殴られたりしないんだからねっ」
「じゃあ人前でしなきゃいいんじゃないかな」
ってか、あんなの殴られたうちに入らないよ。
叔父と散々取っ組み合いながら育ったという前田慶次はそう笑って、サスケの前にココアのカップを置く。
「小児科外来を抱っこされたまま通ってきたおれさまとどっちが可哀想!?老若男女問わずに『あらまあ微笑ましい』ってな視線ばっかり飛んできたんだから!」
「そもそも政宗のやつ、今日はなんの用事なんだっけか?」
サスケの悲痛な叫びには答えず首を傾げれば、重たげなポニーテイルが白衣に揺れた。
――白衣姿は初めて見た。
(この人ほんとうに医者だったんだなぁ)
とサスケは内心失礼なことを考える。
「政宗は、摺上原で講演会」
摺上原は、サスケと政宗が住む居住区『奥』に一番近い学術市だ。
人前に出たがらないダテ博士が講演会など珍しいことだが、今は亡い政宗の父親が籍を置いていたこともあり、頼まれるとどうにも断れぬらしかった。
――伸びてきていた髪を切り、ネイビーブルーのスーツを身につけた政宗は、それはもう。
「それであんな入学式みたいな格好してたんだ」
「かわいいんだからいいじゃない」
サスケはココアに口をつけて、あちっ、と離す。浮かんだマシュマロのスノーマンが、ゆらゆら揺れた。慶次はさらに首を傾げる。
「俺も一応学舎組だったけどさ、普通教育なら政宗、ちょうど大学入学くらいの年だろ?」
「二年になるくらいじゃないの」
そして、父親は生きていれば、まだ第一線にいただろう。
サスケは写真でしか見たことのない政宗の家族を思い浮かべ、慶次はうーん、と腕を組んだ。
「新入生と間違われてナンパされてないといいね」
その色恋沙汰が大好きな性質をさして政宗は一言、happyな野郎だ、と言う。
「ないない」
サスケは笑って手を振った。
「自分より美人な男に声かけられる女の子はそうはいないって、この前ものの本で読んだよ」
言外に自分の作り主が世界一の美人だと言ってのけるヒューマノイドに、慶次は。
「……まあサスケがそう言うなら」
目つきの悪さと眼帯と堅気に見えない雰囲気のことは置いとこうか。
と、自分もマグカップに口をつけて、得たりとうなずく。慶次の方からはコーヒーの匂いがした。
医療棟はどの部屋も窓が広い。日の光を透かす蔦やら灌木やら、緑が必ず見えるつくりになっている。医師の控え室でもそれは変わらぬらしい。
主である慶次の性格もあるのだろうが、雑然とした小さな空間は、例えば同じほどに日の光が入る毛利研究所とは趣が異なる。
「んで、サスケは謙信と合流してかすがちゃんのつきそい、あとは政宗が帰ってくるまでタワーにいるんだよな?」
「うん、政宗の研究室にでも――」
コンコン、とノックの音にサスケは「あ」と口を開けたまま、――後で思い返せばひどく間抜けな顔で、振り向いた。
「…おや」
小さく呟いて、サスケを値踏みするように眺めたのは――慶次の叔父で呼吸器系の研究に携わる利家ではなく、生体科学のまつ殿でもなく、消化器系の織田夫妻でも、医療系の研究室にいるその妹でも婚約者でもなく、慶次と交流があると聞いた元親でもなく。
つまりサスケが考える限り、およそこの小児科医とは関係の無いはずの、人間だった。
「半兵衛、早かったな」
――なのに慶次は、当然のようにからりとそう言う。
「お邪魔だったようだね」
「いや、今持ってくる。待っててくれ」
踵を返す慶次を見送る、プラチナブロンドに不健康なほど白い肌、紫縁の眼鏡。
竹中半兵衛は――都市だとか、建築だとか、そういった類の研究をする人間だと、政宗は言っていたはずだ。
きゅ、と唇を結んで訝しげな目を向けたまま、サスケは自分の眉が寄るのを感じた。
慶次と仲がいい、とも見えない。いつかの空々しい笑みさえなく、つまらなさそうに腕を組んで竹中半兵衛は戸口に立っている。
――いつかの。
『君、相変わらずお人形さんの研究を続けているのかい?』
『Ha,Dollみてえな面のやつに言われると笑えるな』
『否定はしないわけだ、政宗君』
『時間の無駄ってやつだ』
『そう!時間の無駄は僕も最も嫌うところだ。けれど君はそれを侵している。悲しむべき才能の浪費、まさに無駄と言うべきだよ』
『俺の才能はあんたのために溢れてるわけじゃねえからな』
『僕は君の能力だけは高く買っているんだがね。実に残念だ』
そんな、口を挟む間もない冷え切ったやりとりがサスケの頭上で交わされたのは、いつのことだったろうか。
――政宗が気にしていないから、気にするつもりは無いけれど。
サスケを、つまりは政宗の才能の浪費と時間の無駄によってできあがった残念なお人形(うーん、結構ひどいこと言われたよね、おれさま)とのたまった男である。
眺めていると、プラチナブロンドは再び5A式に目を向けた。
サスケはニッコリ、と笑った。
「コンニチワ、ドクター・タケナカ」
棒読みだ。
「こんにちは、甲斐原理統合5A式くん」
Dr.タケナカもにっこりと笑った。
「僕は君をお人形さんだとは思っているが、もう少し礼儀をわきまえたプログラムをされていたように記憶しているよ」
「そりゃどうも」
失礼しました。
そっぽを向いて舌を出したいのを我慢して、へらりと笑えば、何かの博士であるらしい竹中半兵衛は興味深げにサスケに向き直る。
「君はどうしてここに?」
「それはナイショです」
「不具合でも見つかったのかい?」
「それはナイショです」
「鸚鵡のマネができるなら、政宗君に伝言を頼みたいな」
「それはオコトワリです」
Dr.モウリ辺りならそろそろ凍てつく視線を向けてきそうだが、Dr.タケナカは意に介した風もなくこう続けた。
「甲斐原理統合5A式ヒューマノイド、ダテ博士は一体誰からトレースしたんだい?」
サスケは、言葉を失った。
「……はい?」
「君、まさか自分が、完全なオリジナルだなんて思っていないだろう」
涼しい顔で竹中半兵衛は腕を組む。
――トレース。トレース?おれが、誰かの?
サスケは、こわばった表情を、ゆっくりと笑顔に戻した。
「顔のモデルくらいは、いるかもしれませんけど、甲斐原理式AIはトレースを前提としていませんよ。Dr.タケナカ」
誰かの脳の働きを読み取り写し取って作られるのは、旧式のAIまでのこと。
――そうだ。引っかけだ。動揺などしてやるものか。
「ああ、確かにそうだね」
あっさりと肩をすくめて、ドクターはサスケの言葉を認めた。
「じゃあ、その顔のモデルでかまわない。誰なんだい?」
「かもしれない、と言いましたけど、実際いるとは聞いてませんので」
「僕はね、その再現率が知りたいんだよ。5A式君」
「それ、あんたの研究に関係のあること?」
つい素に戻って、サスケは内心舌打ちする。
――これでは相手のペースだ。
竹中半兵衛は表情を変えず、首を振った。
「研究には関係ない」
うつむいた顔に、影がさす。元より窓からの光が届かぬ場所にいたが、――日がかげったのだ。
「……僕には時間がないんだ」
低く、低く、吐き出すような独白。
「だが、彼なら、その時間を延ばせるかもしれない。――見せかけだけでも」
見せかけだけでも、かまわない。なのに。
半兵衛、と呼ぶ声がした。
雑然とした部屋の棚の向こうから、足音が近づく。
「待たせたな、ほら」
白衣の袖が掲げてみせたのは、真白いフィルムペーパーの袋。
封じるように押された赤い印の細かい模様には、BASARAタワー処方薬科の名が刻まれているのだろう。
サスケも何度か見たことがある。政宗が風邪の時にもらってきた漢方薬の袋は、薄茶色を緑で封じてあった。
白い袋に赤い印は――小児科用のしるしだ。
「半兵衛は子どもの時から疾患があってね」
慶次のマグカップにもスノーマンが揺れている。コーヒーを吸い込んだ白いマシュマロ。
「今でもあっちこっち薬で抑えてる。小児科のころからずっと、だから今でもこっちの担当なんだ。あ、俺じゃないよ?今週はベテランの先生に頼まれて薬預かってただけで」
「でも友だちなんだよね?」
そうでなくてあの冷たげな博士を半兵衛呼ばわりとは思えない。
サスケは冷めそうなココアを飲み干して、底に残ってしまったスノーマンをむむむと見つめた。
「俺はそう思ってるけど」
慶次の声が、いつになく低く、諦めを含んで落ちる。
「まあ、あっちからすれば腐れ縁かな」
俺、嫌われてるからさ。
――独り言のように、ここにいない誰かに語りかけるように、それでも温かく。
「半兵衛が小児科の入院棟に入りっぱなしだった頃からの付き合いだ」
利につれられて出入りしてたけど、元気な顔が目ざわりだって言われたよ。そのくせあいつ俺より頑丈でムキムキな秀吉には一目惚れでさ、不公平だよなあ。
苦笑して、慶次は視線を窓辺に向ける。雑然とした棚に、埋もれるようにあるいくつかの写真立て。データを映すフォトフレームではない。
表面が窓からの光を反射して、サスケの位置からでは誰が映っているのか分からなかった。
つづく
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