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戦国BASARA・腐向け・サスダテ中心・本館(サササケ)を見ている方向け。
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妄想が(M)延々と(E)洩れておりますな(M)お館さヴァア(O)!!!



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04.06.Mon  
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 クリスマスネタ、ちと完成させられそうにないです。

 明日あさって時間取れればよかったのですがorz

 でも半ばくらいまでは書けたしこれはこれで雰囲気だけでもいいんじゃないかな~と思うことにして、追記に載せていきます。


※現パロで転生で女子化・『結婚してくださいシリーズ』のクリスマスです。










 ジングル・ベルのメロディがどこからともなく流れてくる。
 回遊魚のように人の流れる煉瓦敷きの通り。街灯や店先を彩る金色の飾りつけは、きらきらと目に温かい。
――印象としては、温かい。が。
「……寒い、寒い、寒い、Shit!」
 マフラーにうずめた口元でつぶやき、政宗は足早に人々の流れを追い越していく。
 学校指定の白いピーコートの下、セーラー服の紺のスカートがパタパタと揺れて、風をさえぎってくれる気配さえない。脚はかろうじてタイツが許されているが――いっそジャージでも履いてくりゃよかった。と彼女は肩を縮ませた。
 右目にガーゼの眼帯があてられているのを差し引いても、その子猫めいた容姿とお嬢様校の制服に目を奪われている通りすがりの男どもなら、ジャージ案にはおおいに異議を唱えるだろう。彼女がきれいに忘れている校則も悲鳴を上げるに違いない。だが夏生まれの政宗は寒さに弱かった。
 いつものショートカットは少しだけ伸ばして、マフラーをとれば首筋にゆるくはねるていどに――けれどそれこそマフラーになるほどに長ければ、もっと温かいのではないか?などと埒もない想像をしてしまう。
 まだ空は明るいというのに、冬の日ざしはすでに傾き、通りには陽だまりのひとすじもなかった。
 水の中のような薄明るい光。軒を連ねるショーウィンドウのライトが華やかに映る。
 ヒイラギの葉に真紅の実。モミノキの深緑に金の林檎とまつぼっくり。紺色の箱に銀のリボン。
――そりゃあ、Christmasは嫌いじゃない。
 だからこうして25日にそなえ、守役の小十郎へのプレゼントなぞ探して暖房の効いたデパートから街にさ迷い出ているわけだ。
――しかしもう少しくらい、暖かくてもいいんじゃねえのか?
 嫌いじゃない、などと胸のうちでつぶやく政宗だが、実際のところクリスマスはむしろ大好きだ。華やかでキラキラしていてクールである。去年まではアメリカの養父の家で、小十郎とグランパと政宗の三人、十一月末から年明けまで延々クリスマスの飾りつけの部屋で過ごしたものだ。大晦日には掃除をしたい小十郎だけは、27日あたりから落ち着かない様子になるのが恒例だった。
――これで寒くなければPerfectなのだが。
 寒さを跳ね除けるようにひたすら歩いていた政宗だったが、もうどこでもいいから飛びこもうと斜め左のカフェに足を向けた。
 けれど自動ドアが開く前に、その柱にはられた鏡を見て――鏡に映った色を見て、立ち止まる。
――斜め後ろのCDショップに、ひどく温かそうな橙色が。
 その小さな影に考えるより早くきびすを返した。
 暖炉の炎のような、朱色がかったオレンジ。
 地毛だと聞いたときは驚いて、驚きついでに触らせてもらった政宗である。
――犬のようにわしゃわしゃと撫でられ、男は困ったように笑っていた。『いいよ』と快諾したくせに、と口を尖らせれば、情けない声で答えていわく。
『思ったより近くて…』
 その距離に、照れてしまったのだと、口にはせずとも丸分かりな顔をしたものだ。
 政宗も今なら、その感覚が分かる気がした。
――単純に照れてしまう、なんてものじゃない、つかみがたい距離。
 だから。
 カーキのダウンジャケットの、フードをふちどるファーが両肩から背中にのっている。その後姿まで歩いてきてから、逡巡してしまった。
 政宗より頭ひとつ高い、ひょろりと痩せた男の、オレンジの頭にはヘッドホン。名を呼んでも耳に届くかどうか。
――これが小十郎や従兄の元就なら、なにも考えず肩を叩けるのに。
 元親や慶次なら、歩いてきた勢いのまま膝の辺りを蹴飛ばしただろうし。
 幸村やかすがなら、いきなり前に回りこんで驚かせてやるのもいい。
 けれどこの男にはどれもこれも名案ではない気がして、政宗は唇を結んだ。
 ジャケットの端をつかむ。
――温かそうなもん着やがって、コノヤロウ。
「…Hey,佐助」
 アルトの声は不機嫌に低く、小さく響く。
 どこかの誰かの新曲が流れ続ける店内。
 なのに、瞬間、ぱっとオレンジ頭はふりむいた。
 たった今目を覚ましたような顔の、鳶茶色の眼がまるく、政宗を見た。

 

「政宗さん」
 ヘッドホンを外し名を呼べば、おう、とぶっきらぼうに答える声。
「驚かせたか」
「あ、うん、ちょっとびっくりした」
 あははと誤魔化すように笑って、佐助は心臓の辺りに手をあてる。
――後ろから近づく気配、それ自体には気づいていたのだが。
 小さくジャケットの背中を引かれたのと、ヘッドホン越しにその声を聞き取ったのはほぼ同時。
 彼女だとすぐにわかって、思わぬタイミングに驚いたのも事実ではあった。
 けれどふりむけば目に飛び込んできた、白いコートに映える瑠璃紺タータンチェックのマフラー。何よりその柔らかそうなカシミアに口元をうずめ、佐助のジャケットをちんまりとつかんで、上目づかいに見上げる目。
――驚愕するほど可愛かった。
 ベタなシチュエーションも嫌いじゃない己を再発見しつつ、佐助は左右を確認する。
「ひとり?」
「ああ。かすがは寺の手伝いだとかで――あんたもひとりか?」
「うん、今日はね。真田の旦那は部活、チカちゃんは船仲間と集まってて、慶次はまつさんの手伝いとか言ってたかな。小太郎はボランティアの日だし」
 彼女と共通の友人――と言えそうな名前をひとりひとり指折って、「ヒマなのは俺様だけ」と困り眉で笑ってみせた。
 がっかりさせたかと懸念したのもつかの間。
「そっか」
 政宗はニイ、と小さく牙を見せてご機嫌な顔だ。
――否。騙されるものか。彼女は今、店内の暖かさに喜んでいるだけなのだ。
 自分とふたりきりなのが嬉しいのだなどと、そんな都合のいい解釈をしてはならない。勘違いは後が辛い。
 オレンジ赤毛の下、佐助の理性は一足早い除夜の鐘のごとく、ゴーンゴーンと警鐘を鳴らし続けた。
「どんなもん聞いてるんだ?」
 そんな佐助の内なる葛藤など知るはずもなく、少女は猫のようにするりと隣に立つ。
「どんなって言うか――昔聞いた歌を探してただけなんだけど、これがさっぱり見つからなくて…」
 タッチパネルを覗きこむ形のいい頭の、そのつむじがすぐそばにあるのを眺めていたせいか、答えは曖昧にむにゃむにゃと消えていった。
「何だよ、はっきりしねえなあ。Song titleわかんねえのか?」
「ええと…とにかく、クリスマスの歌」
 だと思う。
 自信無げにそうつけたせば、眦の涼やかな目がちらり、と佐助を見上げる。
「誰が歌ったどんな歌だよ、歌詞とか」
「よく分かんないだよね。多分英語で聞いたんじゃなかったかな、と」
「…英語で、Christmas songか…誰でも歌ってるからな…」
 真剣に考えてくれているらしく、ゆるゆると低くなるハスキーヴォイスに――半ば暇つぶしだったとは言えなくなった。
 これはこちらも真面目に思い出さねばと、佐助は隣の、茶色がかってつやつやした黒髪のつむじをじっと見つめる。
「えっとね、誰かのオリジナルソングとかそういうのじゃないと思うんだ。昔っからあって、この時期になるとその辺でよくかかってる気がするし、讃美歌とかそういうたぐいのもんかも――」
「昔から?」
「うん、たぶん、中世くらいにはあった歌」
 その答えが奇妙に聞こえたか、政宗は佐助の顔を見上げてぱちぱちと瞬きし――いぶかしげに小首をかしげた。
「……あんたが言ってるのはひょっとして、ただのChristmas carolのことじゃねえか?」
「クリスマス・キャロル?」
――どこかで聞いた単語だ。本のタイトルとか、そのあたりで。
 佐助の脳裏にまず浮かんだのは、英国の文豪が書いた小説の背表紙である。読んだことはない。
――つまり何のことだか、よく分からない。
「だからChristmasの……Ah,祝歌っつったらいいのか?"The first noel"とかそういうやつ」
 不思議そうに瞬いた佐助にそう説明する政宗も、改めて聞かれると正確なところはよく分からない、という風情だ。
 言葉で言うより、とばかりに佐助の手からヘッドホンを取って、検索パネルにパタパタと曲名を入力する。
 黒いクッションに両耳をすっぽりとおさめ音を聞く姿に――イヤーマフなんかつけたら可愛いだろうなあ、白いのかグレーの毛皮。などと佐助がよそ事を考えているのも知らぬげに、政宗は伏せていた目をぱっちりと開いた。
「聞いてみな」
「え、あ、うん」
 渡されたヘッドホンをつければ、耳元はなにやらさっきより温かい。
 テノールの声がノエルを歌う、その響きに耳を傾けて――ああ、そうそう、よく聞くこういう歌。と記憶を再確認する。
 どうだ?とじっと見つめてくる左眼は雄弁だ。
「そうだなあ…」
 これだったかもしれない、と思いながら、けれど佐助は答えを濁した。
――正直、あまりはっきり覚えていないのだ。

 何しろあれは、五百年も前に聞いた、歌声なのだから。

 





 つづく






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