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戦国BASARA・腐向け・サスダテ中心・本館(サササケ)を見ている方向け。
女体化とか幼児化とか遠慮なく出てきますのでご注意ください。


妄想が(M)延々と(E)洩れておりますな(M)お館さヴァア(O)!!!



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04.06.Mon  
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 結婚してますシリーズの冬至の話が出来ました。


 もみじ狩りは どうした


 とりあえず追記に載せときます。







 一年で一番長い、夜が来る。
 太陽ははかなく沈み、欠けはじめの月が空を渡る。
 光の届かぬ木々の下、冷たい冷たい闇の中、影が奔って命を獲りあう。
 影は獣であり、病魔であり、戦乱の世の裏駆ける――忍びであろう。
 そんな冬至の日暮れ。薄明かりの頃。
 武田軍真田忍隊の長、猿飛佐助は、嫁の城でゆず湯につかっている。
――くりかえす。猿飛佐助は嫁の城でゆず湯につかっている。

 

 嫁の城。
 というのも、佐助の嫁は一国一城の主である。
――いや待て、一国一城どころではない。
 佐助の嫁は奥州筆頭、この奥州を平定するにあたり奪い取った城は、残らず奥州筆頭あるいはその臣下が治めているのだから――。
(うわあ。頭が痛い)
 佐助は考えるのをやめた。
 奥州の冬、日のあるうちと言え、空気は乾いて冷たい。大凧で上空を飛んできた佐助は喉の奥まで冷え込んでいた。元より忍びとして鍛えられた身は、熱を極力押さえこむ。体温も汗も、存在を気取られる弱みとなる。
 大凧を畳んで降り立ち、忍び入るように青葉城へと足を踏み入れた。
 目指すのは城の奥とつながる離れのひと部屋だ。
――挙式したその日から、何となく、婿が泊まる部屋ということになっている。
 佐助の嫁には元々城主としての寝所が別にあり、夜はそこに、昼はまた他の書院にいたり厨にいたり厩にいたりが日常だ。城主が厨や厩にいるのが通常であるかはさておこう。とにかく佐助はその辺りを探すことが多い。
――今日は“行く”と伝えたのだから、勝手にいつもの部屋にいればいいわけだ。
 そう考えて佐助はこっそりと庭木を渡った。
 厄介な人物に見つかると『伊達家の婿がコソコソ忍んで来るんじゃねえ』といった小言につきあわされる。だから佐助は余計にコソコソと忍んでいった。
――部屋には誰かの気配があった。
 一瞬身構えて、すぐに力を抜く。
 部屋にいたのは奥州筆頭、独眼竜の呼び名も名高い伊達政宗その人であった。
「…Ah,早かったな猿飛」
 おかえり。と笑う。
 佐助の嫁である。
「お邪魔しますよ、竜の旦那」
 へらりと木の上から手を振れば西日の中、嫁はわずかに唇をとがらせた。
「邪魔はねえだろ、邪魔は」
「え、あ、えーと…」
「おかえり」
「…た、ただいま」
 佐助の返事に嫁はにかーっと笑う。唇に牙がのぞくのが無邪気である。
 独眼竜の名の通り、右目は眼帯の下に隠し左の独眼は竜のごとく眼光鋭い。きれながの目と鼻梁は整い、北国育ちらしい白い肌は今は少し朱がさして、きりりとした藍色の小袖が良く似合う。茶色がかって光にすける黒髪が、わずかに濡れて艶やかに色を濃くしていた。
 有体に言ってしまえば美人だ。
 何やら好い香りもする。
――誤解のないように言っておくが、独眼竜は男である。
 なんで男が嫁なんだ、と聞かれても佐助には答える術がない。
 だがひとつだけ言えることがあった。
――これで女だったら、それはそれで、凄く困る。
 ほこほこと熱を持った、そこだけ色が違うような温かな気配。
「お風呂入った?」
 部屋に入って、佐助ははて、と内心首をかしげた。
――それにしてもいつもと少し、香りが違う。
 爽やかな柑橘系の。
「ゆず湯につかった」
「柚子…」
 つかった?
「飲んだ、とかじゃなくて?」
 佐助はこんどこそ首をかしげる。
「Yes,つかるんだ。邪気をはらうってんで今日みたいな――夜が長くて寒いときに入っとくと、病気にかからないとか」
「へえ」
 そんなものか、と佐助はうなずいた。
――確かにすっかり温まった様子だし、爽やかな香りで穢れを落とした気配は何とも。
(近寄りがたいなー…)
 冷たくて埃まみれ穢れまみれの佐助は、じりじりと嫁から距離をとった。
 そんな佐助に気づいてか気づかずにか、独眼竜は用意していたらしい着物と拭き物を抱え上げ。
「だから、あんたも入って来い」
 と、有無を言わせずのたまった。

 

 そういうわけで佐助は今、ゆず湯とやらにつかっている。
 風呂と言えば蒸気で温まり垢をこすり落とすものだが、今日は湯につかるからと隣の湯殿に案内された。
『汚れ落として腹までつかって、千数えるまで出てくるな』
 子どもじゃないんだから――と笑って答えたが、結局了承した。背中を流そうなんて殿様らしくないこと考えずに待っててください、という条件で了承した。
(二百八十三、二百八十四、二百八十五…)
 温めに炊かれた湯は、冷えた身をじわりと染みいるように温めてくれる。
 高い場所の窓から外の明かりが漏れ落ちる。白い湯煙の中に、ぷかぷかと浮かぶ金色の丸いものが二つ、三つ。
 柚子の実である。
『邪気を祓うとか言われると、俺様なんか溶けちゃいそうだなー』
『Don't be care.俺は無事だった』
 湯殿の前で交わした軽口を思い出しながら、腕を伸ばしてつかもうとして――逃げられた。煎じたものでも湯に溶けているのかと思いきや、金色の実はのん気に丸く、たゆたっている。
 実際、柚子には薬効がある。
 佐助は忍びの薬の材料を思い描いた。
――独眼竜は子どもの頃に大病を患ったと聞くから、それで病に気を使うのだろう。
 戦場で見る限り、怪我に気を使う様子は全然ないわけだが。
(四百六十九、四百七十、四百七十一…)
 湯の気配は温かでも、空気はひんやりとしている。
 いつまでも入っていられそうな気もしつつ、温泉だとてのんびり入ったことのない佐助には、千はずいぶんと遠いように思えた。
 柚子の匂いも染みこむことだろう。油紙に収めた忍び装束も手の届く位置、湯気は吸わぬように包んだが。
――まあ、これはそういう任務なのだと思えば、匂いなど後で落とせばいいことだ。
(五百九十九、)
(いや。こんな任務、ねえよ。六百。)
――しかし、広い。
 ひとりで入るには、脚を伸ばしてなお広い。泳ぐには狭い。
――竜の旦那は好きそうだけど。
 湯船の段差に腰かけて脚を悠々と伸ばし、あるいは一段下に腰を下ろして肩までつかり。
 温かさと柚子の香りに力を抜いて、陶然と息を吐く薄い唇。
(……。八百五十一。八百五十…)
 白い肌が上気して、玉雫をのせる。黒髪が濡れる。
(八百五十…あ、髪は結ってたかも…八百五十…)
(八百五十二)
 柚子の匂いを吸って、吐く。
 邪気をはらうとは言われたが、煩悩は落としてくれないらしい。

 

 千とおまけに八十まで数えて出ると、枯緑の小袖に着替える。忍びに着せるにはいささか上等だ。――暗くなったらまた白い夜着に着替えるのに、もったいない。しかしもったいないと言うなら、これを無駄にするのももったいない。と、佐助は未だ慣れないもてなしに戸惑う心を落ち着かせた。
 部屋に戻ればすでに日は落ち、空の色に薄明かりを残すばかりとなっていた。
 忍びの目にはたやすく見える薄闇の中、独眼竜は白い煙管の煙を吐いて、そんな空の色から視線をめぐらせ猫のように佐助を見つける。
「あがったか」
 カン、と灰を捨てる音。
「温まったな?」
「おかげさまで」
 へらりと笑う顔が見えたかどうか、佐助の嫁は部屋を見回す。
「すっかり暗いな。Sorry,今行灯に火を入れるからちょっと待て。膳も温かいもんだけ運べばすぐだから――」
「ああ、じゃあ行灯の方は俺が」
 煙管盆から火打石を取り出す独眼竜に、手を差し出す。
 竜はThanks,と軽く言って、佐助の手に火打石を乗せた。
 ひやり、と佐助の手を冷やしたのは。
「――ちょ、待って竜の旦那」
「What?」
 石を右手に、左手でつかまえ握りしめる。
「何これ…」
「何とはなんだ」
 竜の指は、温まった佐助の手に雪のように冷たかった。
「冷たいよ?」
「…冬だからな」
 佐助の嫁は何言ってんだコイツ、という目で佐助を見る。
 佐助は佐助で、何言ってんのコノ人、という顔で嫁を見た。
 石を置き、両手で竜の指を包む。薄明かりにも白い手が余計に雪を連想させた。
「せっかく温まってたのに…」
「――ああ、まあ、そうだな」
 独眼竜は佐助に手をつかまれたまま、困惑顔でうなずく。
――けれど、手を取り戻そうとする様子はない。
 佐助は両の手のひらで竜の指をまとめて包み、じっと熱をうつすように握った。
 佐助は忍びで、その身は熱を押さえ込むように出来ているけれど。
――この人はちゃんと、いつも、温かでなければ。
「Ah,少し、湯冷めしたか」
「だめじゃない、羽織だけじゃなくて火鉢とか、酒でもいいし――ああ、布団入っちゃえばよかったのに」
「ばか、飯も食ってないのに寝床に入るやつがあるか」
「大事な体なんだから」
「ややなら出来てねぇぞ?」
「冗談言ってないで」
 ため息をついて、佐助は竜の指を少し揉むようにする。熱が伝わらないところがないかと、握り方を変えてみる。
――本当は、肩も足も冷えているのではないかと思う。
 そこまで温めるのは佐助にははばかられた。
 それこそやや子でもできるなら、話は別なのだが。いろんな意味で別なのだが。
 この冗談のような意味不明な結婚に、意味はあるのだろうか。と、佐助は思う。佐助の方はさておいて。知りたいのは、聞けないのは、独眼竜の事情だ。
 挙式した夜さえ触れずにいた指を温めているのは、不思議な気分である。
『…あんたには悪かったと思ってるんだ、猿飛』
 あの夜、独眼竜はそう言った。
 左目をわずかに伏せると、これがかの独眼竜とは信じられないほど儚げになる。
『それはお互い、言わない約束でしょ』
 そうして佐助はつい、また、ゆるく笑って誤魔化してしまう。
 巻き込んだのは独眼竜で、うっかり巻き込まれたのは幾ばくかは佐助の落ち度だ。罪悪感なら、いらないと、やめておけと、それだけは互いに確認していた。
「――そろそろ、お前が冷えるぞ」
「大丈夫」
 千まで数えましたから。
 冷たい手が、熱った手に心地よいほどである。
「あ。火打石なんか使わないでも俺様、火種持ってたわ」
「Ah,便利だな」
 でも別に、急がなくていいぞ。
 すっかり暗くなって、互いの顔も分からなくなりつつある。佐助の目にも輪郭は分かるが、表情は探る程度。
――紅くなってても、分からない。
 指を、離してもいいのだと、離さずともいいのだと、確認しあって。
 沈黙が降りる。
 梅雨の頃に祝言を挙げて、もう半年経とうとしている。殿様と忍びの奇妙な遠距離新婚生活。意外に波乱がないのは、お互いこの沈黙が嫌いではないからかもしれない。そう佐助は考えた。
 暗がりの中ふいに、す、と気配が動く。
 佐助のまだ冷めていない身に、ひんやりとした柚子の香りが近づいた。
「あんたの髪が、Orangeっぽい匂いだと…」
 何だか不思議だ。
 かすれた声がつぶやく。
「おれんじって、なに?」
 佐助は首をかしげた。乾ききらない髪が少し冷えて首筋に触れる。そろそろ月も昇るころが、竜の目には佐助の橙赤毛も見えていないだろう。
 けれど、佐助の目には見えている。
――一年で一番長い夜の中。
 独眼竜の金の目は、柚子のような明るい色で、無邪気に笑んで細まった。

 

 

 



   +++



 風呂について。
 風呂という言葉は元来蒸風呂をさすそうで、山岡荘八の『徳川家康』とかでもそういう風呂が出てきたのが印象的です。なので思い出したように時代考証を試みました。湯につかるのが一般化したのは江戸時代くらい?ゆず湯が普及したのは銭湯が出来てから??そんなWiki調べの戦国あやふや風呂知識。
 しかし2の前田家OP水風呂騒動から察するに、BASARAでは普通にお湯につかる形式と思っていいんだろなというのが結論です。
 まあ伊達さんなら両方やってくれるに違いない…そして佐助はどうせ両方馴染みがないに違いない…ということにしてみました。




 






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