戦国BASARA・腐向け・サスダテ中心・本館(サササケ)を見ている方向け。
女体化とか幼児化とか遠慮なく出てきますのでご注意ください。
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突然ですが子ぎつねパラレルです。
四夜連続、できれば五夜連続で投稿予約しときます。
明日は5時半掲載予定で。
設定はnovel頁ダブルパロの『きつねのてぶくろ』から派生。
ちょっと昔のどこかの小さな町で、伊達さんが人間、忍びーズが子ぎつね三匹兄妹弟です。
やりたい放題です。
今回はダブルパロじゃなくて、とにかく夏祭り!夏祭り!と何かがパーン☆してできました。先日森見登美彦をすすめてもらって『宵山万華鏡』を読んで、分かりやすく影響された感じです。
まえおきはさておき、追記からはじまります~。
柱時計がボーン…と鳴って、夕刻を知らせる。
政宗は椅子に座ったまま、気づけばとろとろと眠っていたようだ。顔を上げると店の大きな窓から、まだ明るい空が見える。
日は山に沈みかかっているのだろう。立並ぶ家の面も、政宗の店の中も、薄蒼い影に染まっていた。
政宗の店はこの小さな町の、商店街を少し外れた場所にある、小間物屋である。
看板にはただ『手袋と帽子』と書いて、ついでに日傘やらハンカチやらこまごました物を売っている。
この二十歳を越えたか越えないかという若さの、鋭い左目だけを覗かせた店主の売る小間物は、町の人々には存外、評判がいい。
今は棚に並んだ帽子も、端のほうに寄せられた夏物の手袋も、影になっている。
灯りを入れようと政宗は立ち上がった。
木で出来た椅子の脚と床がすれて、きしんだ音を立てる。堅い背もたれに預けていた体も、わずかにきしんだ。
――なつかしい夢を見た。そんな気がする。
提灯のほの黄色い色が照らす、露店の金魚、浴衣の袖の藍色、川辺の柳葉。
右目を押さえると、いつも薬屋で買う眼帯の、柔らかい感触があった。
「…祭りか」
思い出したように、政宗はつぶやく。
――この小さな町の、夏祭りが、もう始まっているのだ。
ひとつき前には、商店街に一軒だけある服屋が、木綿の反物を仕入れてきた。町の女はそれを買って、裁って、縫って、浴衣を作るのである。
白の藍の、薄紅の。桔梗、撫子、朝顔と、縞に、格子に、麻の葉模様。政宗の店でも縮緬のはぎれを分けてもらって、簪に飾る綿入り紐や、花の形の簡単な髪飾りを作った。
「Sold out…今日は店仕舞いだな」
あくびを噛んで、つぶやく。
開けたままの戸から吹き込む風に、いつもはない不思議な匂いや、御囃子の笛太鼓の音が、かすかに混じっていた。
政宗は、誘われるように店先へ出た。
政宗の店が並ぶ道が、少し先で商店街と交叉する。そこだけ光がふわりと集まって、提灯の、街灯の、露店の灯りの中を、川を泳ぐ魚のように人が行きかっている。
風に、うっすらとにじんだ汗が冷やされる気がして、政宗は心地よく左目を閉じた。
閉じて開くと、赤毛の子どもが、そこにいた。
政宗は左目を瞬かせた。
年のころは三つか四つ、ひとりでいるのが不思議なほど、小さな子どもである。
それが、いつの間にか足元に立って、じっと政宗を見上げているのだった。
「Ah…お前、どこの子だ?」
「……」
髪は、奇妙なほど、紅い。
紅葉の染まりきったような色で、子どもの目元を覆っている。政宗も茶色がかった黒髪の、前髪を右目にかけているが、この子どもはほとんど顔半分しか見えていない。
前髪の下に小さな鼻があって、口が静かに結ばれている。
「父さん母さんはどうした」
「……」
しゃがみこんで訊ねると、ふるふると首が振られた。
浴衣は藍色。白い縦縞が抜かれている。
――珍しくない、けれど不思議な柄だ。
政宗は首を傾げた。
藍色の川を流れる、水面のすじのようである。
宵闇に降る、雨の線のようでもある。
見つめると、青がにじみ出てくるようで、ちらちらと線が動き
――さらさらという音さえ聞こえてくるような気がした。
――奇妙な感覚だった。
小さな手の、中指が長い。
――覚えがある。
政宗は、にやり、と笑った。
「…兄ちゃんと姉ちゃんは、どこだ?」
吊り上った口に牙のような犬歯がのぞく、狼のような、曲者めいた笑みである。
「……」
子どもは臆した様子もなく、政宗の後ろを指さした。
振り向いても、誰もいない。
ただ、屋根が並ぶ道の向こうには、山の陰があった。
南の山には狐がすんでいる。
――顔なじみの狐だ。
顔なじみだと、政宗は思っている。相手はどうだか分からない。
狐は赤みがかったオレンジ色の髪の、十二か三かという歳の少年の姿で、時おり政宗の店にやってくる。
――冷めた鳶茶色の目で、生意気そうな顔をして、あまり懐いた様子も見せない。
けれど名前は教えてくれた。
「お前、佐助の弟の、小太郎だな?」
「……」
子どもはこっくりと、うなずいた。
遠い提灯の灯りを背負い、影と紅赤毛に隠れた目は瞳の色も分からない。
けれど、兄狐と自分の名を呼ばれてか、口元は少し嬉しそうに見える。
「今日はひとりか」
冬の日に、この弟狐を抱えて手袋を買いに来たのは、金の髪の少女だった。人の姿は七つか八つほどの、あれは佐助の妹であり、小太郎には姉になるのだと聞き知っている。
「……」
再び、こっくり。
政宗よりひと回り小さな頭が、人形のように揺れた。
耳も尾も見当たらない。
赤毛の紅色だけ残して、きちんとヒトの子どもの形をしている。
「Well,ちゃんと佐助たちみたいに、できるようになったってわけだ」
毛色のほかに狐の証は、少し風変わりで涼しげな、藍の浴衣だけである。
――浴衣。
ふと政宗は、紅赤毛の向こうの提灯の明かりと、流れていく人々に目を向けた。
明るく見えた空も夕日の色をにじませ、陰る道に灯りと祭囃子がふたりを誘うようだ。
「お前さんひょっとして、祭りに行くつもりか」
「……」
小さな手が、政宗の長袖シャツの袖口を、きゅっとにぎった。
「Oh,」
連れて行って欲しいのか、着いて来て欲しいのか。
幼い姿はいずれ狐であろうとあるまいと、放っておける風ではない。
温い風が吹いた。
空はどんどん、日暮れの蒼に染まっていく。遠くの提灯は優しい卵色だ。
政宗は昔、兄代わりの男にせがんで連れて行ってもらった祭りを思い出して、気がつけばうなずいていた。
「All right,いっしょに行ってやるよ」
「……!」
小さな口がほころんで、こくこくとうなずく。
――言葉こそないが、兄狐より分かりやすい。
政宗は橙頭の少年の、愛想のない顔を思い浮かべ、知らず顔を笑みに染めた。
すると、その背の方から
――くいくい、と裾を引かれる感触。
振り向いて、政宗はぎょっとした。
「……」
「……」
「……」
紅赤毛の小さな頭が、もうふたつ。
あわせてみっつ、並んでいる――。
*つづく*
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