戦国BASARA・腐向け・サスダテ中心・本館(サササケ)を見ている方向け。
女体化とか幼児化とか遠慮なく出てきますのでご注意ください。
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※今回は短めであります。(いつも通りとも言う)
寒い時期になれば眠い。幸村にとっては熊が冬眠するのと同じ自然の法則である。あまりに寒くては眠れぬが、寒ければ寒いほどに、毛布や猫や犬、少し温かいものを膝にのせただけでコトンと寝てしまう。油断ならない。
――もしや修行が足りぬのか。
(いやしかし……しかし……)
「……は!」
びくりと体を震わせて目覚めれば、膝の上が温かかった。
猫ではない。犬ではない。オレンジ赤毛が幸村の膝にちんまりと座っている。
「Wow,」
ハスキーな声は左下から。
見れば右目に眼帯をした少年が、座布団に体育座りで幸村を見上げている。
「こ、これは失礼いたした、政宗殿っ」
「こっちこそ悪かったな。ほんとに寝ると思わなかった」
Hey,もういいぜ、たけだの忍び。
恐縮する幸村の膝から猫でもひきとるように、オレンジ赤毛を抱えおろそうとする。と言っても政宗よりふたまわり小さいだけの幼子だ。猫のようにされるがままではない。くつしたはポップな迷彩柄の、小さな足で、よっちりよっちりと下りていく。
――佐助、今踏んだのは俺の足だ。
「おれさま、しごと、おわり?」
政宗は見上げてくるその頭をわしゃわしゃとなでまわし、幸村に難しい顔をしてみせた。
「真田幸村、あんた、つかれてんじゃねえか?」
「体力には自信がございまする」
「仕事がいそがしいんじゃねえかと言ってるんだ」
――確かに近頃、勤め先では小さなトラブルが重なって、いささか暇とは言い難い。
だが幸村は、そんなことを政宗に心配させたくなかった。
――何も気にせず会いに来てくだされば、それだけで。
「少しくらい忙しくても、政宗殿の顔を見れば元気になりますゆえ」
「働きすぎのオヤジが言うセリフじゃねえか!?」
むしろ驚愕の叫びをあげさせてしまい、幸村は「いやしかし、」と言葉をさまよわせる。
「しかし………む?おやじ?」
「おいたけだの忍び、Missionだ」
「おしごと?」
「YES!仕事はここからだぜ」
今日は昼寝の日だ!
高らかに宣言するやいなや、政宗は立ち上がった。ちゃぶ台をずらして畳に座布団を並べる。
反論する隙もなく、幸村の膝には佐助がちょんと座り直していた。
「……佐助よ、これは」
膝に座った幼子は、頭をめぐらせて幸村を見上げる。何を考えているのかは読みづらい、明るい鳶茶色の眼。生真面目そうにも、何も考えていないようにも見える顔。
「おれさま、ゆたぽん」
「ゆたぽん?」
「ゆたぽん」
幸村の鸚鵡返しに、こっくりとうなずいて佐助は答える。
謎の言葉に頭の中を「?」でうめつくされていると、たまご色の毛布を抱えた政宗もまた「Ah,そうだな、ゆたぽんだな」と追い打ちをかけた。
「あるだろ、ほら、温かくてふとんにいれたりするやつ」
「……ああ、ございますな」
実家で使っていた楕円の容器を思い出して、幸村はやっとうなずいた。
真冬になると、それに熱湯を入れて固くふたをして、タオルにくるむ。台所から抱えて寝室まで歩けば、たぽんたぽんと中で湯の揺れる気配があった。
――しかしあれは、確かに湯がたぽんではあったが。
膝の温もりですでに幸村の意識は睡魔に誘惑されている。
――修行が足りぬなあ。
「Come on,真田幸村。たけだの忍びもこっちだぜ」
てしてしと座布団を叩いて政宗が言う。
枕はみっつ。政宗の膝にはたまご色。毛布は佐助の昼寝用だ。政宗も寝ると言うなら、強いてあらがう理由もなかった。
「では……お言葉に甘えて」
佐助を抱え上げて二歩、政宗の隣に腰を下ろす。
広げられた毛布の温かさも、畳と座布団の柔らかい冷たさも心地よい。
電気を消して、政宗もぱたんと畳に倒れ込む。佐助をはさんで川の字、と言うには二本が短い。ツの字の方がまだ近い。
横になった幸村につかず離れず、佐助が寄り添った。「おしごと」と言うのはつまり、幸村の懐炉になることであるらしい。
――思えばその言葉が好きな男だった。
「Good dream,真田幸村」
「おやすみ、だんな」
あくまでも幸村を寝かしつけるつもりのようで、子ども達は小さくそう言う。
――昔もそんなことがなかったか。
昔。今の幸村が幼いころではない。遠い昔。戦の世。幸村が両手に槍を握り、佐助が大きな手裏剣を操り、政宗の手が六本の刀を爪としていたころ。
同じような午後の日差しが、城の畳に落ちていた。幸村よりふたつ上の政宗が、そばに座って湯飲みの白湯をあおっていた。『寝る子は育つってな』と、からかうように笑って。政宗よりもういくつか年かさの佐助は、幸村に仕える忍びであった佐助は、それが己の仕事であるかのように、当然の顔で幸村に羽織をかけた。
――眠りに落ちる寸前、確かにあった静かな昼間を、今でも覚えている。
(よい夢が見られそうだ)
目を閉じたままかすかに笑って、幸村の腕は眠りを引き寄せるように、ゆたぽんをふたり抱き寄せた。
一時間後、湯たんぽにつぶされる悪夢で幸村は目を覚まし、胸は佐助、腹は政宗の枕にされていることに気づくことになるが――。
いずれにせよ幸せな夢のようだと、オレンジ赤毛と黒髪をなでるのだった。
+++++
ツイッターで湯タポンという単語をいただいて参りました。えぼーさんありがとうございました!
※通販※
水緒様、本の方昨日夕方発送いたしました。
ひさしぶりにきつねきつねシリーズで書きたいネタがほわほわしてまして、おいヤメろ出てくるんじゃありませんと押さえこむ日々です。
ハロウィンは瀬戸内がね……瀬戸内がね……。
あとまどマギ劇場版を見に行ったら魔法少女たちが何か可愛いことしてたんで……ついちび助で妄想がぽぽぽぽーん!
前からぴぷー佐助に保育園のお遊戯的なことをさせたいと思っていたこともあり、しかし自分かわいいお遊戯知らないなって……。
これ可愛いよっていうのあったら教えてください。まどマギのはネタバレ規制があるので、でも妄想語りだけは今度!追記に畳めるときに!
※幸村(27)佐助(3)政宗(10)でお送りする最果て様より受信したはずが暴走の一途を辿る例のぴぷーシリーズです。今回ちょっと長いです。
ウェイトレスが紅茶のカップとココアのカップを運んでいく。
――肌寒い時期になったものだ。
そう考えながら幸村はメニューを開いた。苺の紅が否応なく目をひく。この店の苺パフェは苺のアイスが入って、旬でなくても侮れない味をしている。アイスは苺のワッフルにもついてくるが、正道はやはりパフェか。耐え難い誘惑を断ち切るように、幸村はメニューを閉じた。
肌寒い季節になりつつあるのは承知の上、幸村はスーツの長袖に守られた己の腹を信じることにしている。
「あ?早えな真田、今日もイチゴか」
ライオンめいた銀髪を揺らして、向かいの席の長曾我部元親が顔を上げた。こちらは厚着に耐えられぬのか、上着もすでに脱いでいる。紫地のネクタイは何を模しているのかも分からない奇妙な柄に埋め尽くされて、何のために締めているのか不明なほどだ。少なくとも真っ当なサラリーマンに見せるためでないことだけは確かだった。
「そういう長曾我部殿は今日も抹茶にござろう」
「いや、たまにはよぉ…たまには…」
ぺらぺらと頁をめくり、眼帯に覆われた左目を押さえて、「あーうー、」とうなり声をあげて。
「――だめだ!抹茶ソフトが目について離れやしねえ!」
この色が、この形がだな!?
と吠える銀髪ライオンをおいて、幸村はその隣の――これも銀髪の、痩せた男に顔を向ける。
同じような銀色が、元親とは逆に前に集まり、ぴしりとまとめられていた。血色の悪い顔。メニューを仇のように睨む、鋭い両目。
幸村と同じく折り目正しい様で――と言うより、幾分か神経質なまでにきっちりと、ダークグレーのスーツを着込んでいる。勤め先のことまではまだ聞いていないが、新入社員で通る雰囲気だ。幸村より二つ三つ下といったところか。
「石田殿、如何にござろう」
ギロリと音が聞こえそうな眼の動きで、メニューから幸村に視線を移す。
「……私の前に、そこの童は何にするか決めたのか」
そこの童、とは幸村の隣の小さなオレンジ赤毛のことでろう。
鋭い眼光に臆した様子もなく、ぱっちりと開いた両目で斜向かいの銀色を見上げている。
猿飛佐助、三歳。
「おれさま、ぎゅうにゅう」
「そうか」
前世でその赤毛の持ち主にどんな印象を抱いていたのか、青年は決まっているならばよしとばかりにうなずいた。
そしてクッと目を閉じる。
「秀吉様……モンブランをプレートセットにする許可を私に……!」
「おい石田さんよ、奢るのは俺だぜ」
元親がそうであったように、幸村がそうであるように、石田三成は変わらず石田三成でいるようだった。
「しかしよぉ、こうして雁首そろってみるとこりゃ、西軍会談だな」
元親が笑うのにギロリとまた目を移し、西軍の総大将であった石田三成は。
「貴様が毛利を討って半壊させた西軍だな」
ざっくりと傷をえぐるようなことを言う。
元親の顔は笑顔のまま青さを隠せぬようだ。
「い、石田殿それは!」
「私は西軍など立ち上げるつもりはなかった」
メニューをテーブルに伏せ、三成はまっすぐ前を見る。
「私はただ家康と対峙したかった。凶王軍ではなく覇王軍を取り戻したかった。――いや、取り戻したいのではなく、失われてなどいないとしがみついていた」
秋の光がさしこむ席で、凶王と呼ばれた男の顔は穏やかだ。
「私の望みのために西軍は集められたのだろう。そのために刑部が立ち回り、毛利が国益のためそれを利用して、長曾我部は騙された。毛利は失敗した。それだけだ。……責任は私にある」
すまなかったな。
と、最後の言葉は元親の方を向いて。
「そして刑部が倒れ私の討たれた後、大阪城と頭無き衆を守ったのは貴様だと聞いている。礼を言おう、真田幸村」
目を見て言われ、幸村は思わず姿勢を正した。
「いや、そのように言っていただくほどのことは――」
「っつーかお前、熱でもあるのか?」
「きょーおーさん、かぜ?」
「熱など無い。ただ私は今――」
失礼いたします、と盆を抱えたウェイトレスがテーブルの横に立つ。
苺パフェ、抹茶パフェ、モンブランAプレート、ミルクSサイズ、取り皿でございます。ご注文は以上でお揃いでしょうか?
以前から幸村と元親が来ているせいで、スポーツマン並のスーツ姿がパフェを囲む姿に最早慣れた様子である。
中でも一番痩せぎすな三成の前にケーキプレートを置いて、笑顔を崩さない。
バニラクリームが線を描く四角いプレートにハーフサイズのスイートポテト、小さく丸い抹茶アイスとミルクアイスが寄り添って、モンブランは金色だ。柔らかな金色のマロンクリームに黄金の栗。昨今は自然な栗色のモンブランをよく見るが、この店のモンブランは昔懐かしい色をしている。
その金色を、銀色は睨む。
「今はただ……」
前髪の影でギラギラと紅く光り出す双眸。
「家康……家康ぅ……ぃいええや」「わー待て待て叫ぶな!」「元親殿も叫んでござる!」「おさわがせしますー」
よってたかって止められて、三成はすとんと怒気を納めた。
――そんなに憎いなら、なぜ金色を選ぶのか。
思ってから、幸村は(だからこそ、か)と心中つぶやく。
元親が緑の兜を目で探すのと同じく。自分が紅い旗印を求めるのと同じく。
「ま、とにかく食えよ。溶けちまうぜ?」
「……うむ」
「ではそれがしも、頂戴いたす」
佐助の分を取り皿に少し。苺のソースのかかった生クリームの横に、亜麻色のマロンクリーム、抹茶に染まっていない部分のワッフルが当然のように集まった。
「いただきまーす」
のんきな声を合図にそれぞれにスプーンをもって、クリームを切り崩しにかかる。
――上手い。
――五臓六腑に染み渡る。
――ここが楽園か。
「苺のじゃむが得も言われぬ。旬が楽しみでならぬでござる」
「コーンフレークが底上げだってのは言いがかりだな。ウエハース以上の箸休めだぜ。これで口直ししたら何杯でもパフェが食える気がしやがる」
「秀吉様……秀吉様と半兵衛様にこの店のスイートポテトをお届けする許可を……!」
「だんな、おれさま、ごちそうさま。あそびにいっていい?」
「もう少し待て、佐助」
金色が少なくなるとともに、あるいは糖分メーターが満タンになるとともに、三成の表情もまた落ち着きはじめた。西軍の将だったあのころよりは心身ともに年齢も重ねているだろう。昔は折れそうな姿の後ろに、病と呪いに毒されながらそれを動力にしたような男が控えていた。三成の後ろにいるときだけは、毒するのでなく、支えるかに見えた。
「石田殿、その、大谷殿は――」
大谷吉継。その名前に、三成の手がぴたりと止まる。
「……見つかっていない」
声は毅然としている。だが、意図せぬ無念さに溢れているようだった。
「刑部は、私より先に輪廻に入ったものとばかり――だが、秀吉様と半兵衛様の捜査網にもかからぬとは……!」
それは、と言い掛けて幸村はハテなと口ごもる。
「ひ――いや、豊臣殿と竹中殿も?」
生まれ変わってござるか?
「当然だ」
「HT商会って会社立ち上げてるぜあの二人。こいつもそこに勤めてる」
こっくりとうなずく三成をスプーンで指して、元親は軽く「悪い、言い忘れてた」とつけくわえた。
「長曾我部……貴様秀吉様と半兵衛様の新たなる業績を言い忘れて……!?」
「悪かったな!凡愚だから色々後先になるんだよ!」
――なるほど、それで。
このように石田殿が概ね落ち着いておられるのだな。
そう納得しつつ、幸村は「ううむ」と腕を組んだ。そして。
「何というか……見つかるときはいっぺんに見つかるものでござるなあ」
そう言ってから、はたと自分の『失言』に気づく。
「いや、その、芋づる式にと言うか」
「いもづる」
隣のオレンジ赤毛が長ズボンに包まれた足をてふてふと揺らしながら、言い添えた。
「つまりよぉ、ほれ、こいつを見ろよ」
そのあどけなくも意図不明な様子を指さして、元親はカラリと笑う。
「三歳だぜ、三歳!前は真田より年上だったろ?なのにこんなに縮んぢまって」
だから、と続けかけた言葉を断ち切るように。
「貴様と」
三成は佐助を見つめた。
「貴様と真田はどちらが先に倒れたんだんだ」
澄んだ眼差しだった。戦の世と変わらぬ眼だ。そう真田は思った。それに気をとられて、三成の言葉の意味するところを咄嗟に捉えそこなった。
――猿飛佐助とその主は、どちらが先に死んだのか、と。それはつまり、その死に様は如何様だったのか、主を守れたのか、そんな問いにも通じてくる。
そう問いかけるには相手は幼すぎる姿ではないか。そんな気後れは三成に限って存在しないようだった。彼はおそらく、真田の忍びに己の盟友を重ね合わせたのだろう。
――だが、それを佐助に答えさせていいのか?
三成にではなく、幸村は自分に問いかけた。
みっつの歳の幼子の眼は、透明な鳶茶色をしている。透明なのに、ガラス玉のようでまるで考えが読めない。いつもの、戦の世と変わらぬ猿飛佐助の眼差しだった。だがその目の奥に、どれほどの記憶と自覚を持っているのか、幸村には測れない。
――答えなくともよいのだと、言うより早く。
人形のように小さなひとさし指が、口の前をゆるりと通せんぼにする。
「それはナイショ」
忍びのままの言葉で、佐助はそう言った。作り笑いでも浮かべていれば、あの頃のままだったろう。
三成は一瞬、眉を寄せ、だがすぐにそれを解く。
「主の前だ、秘匿を許そう。――いや、」
首をふり、息を吐いて。
「秘匿せざるを得ない問いをした。許せ」
澄んだ眼で忍びをまっすぐに見る。銀の光が眩しく、幸村の目を細めさせた。
『裏切りは許さない、秘匿は許さない、怠惰は許さない、秀吉様を忘却せんとする、この世のすべてを許さない――!』
あの頑なさと裏腹に存在した純粋さと、人間的な熱は――この平和な世にあって育まれたのか。それとも自分が、初めて目にしただけなのか。
元親が感無量とばかりの笑みで、その銀色をわしゃっとつかんだ。
「いいってことよ!石田三成!」
「なぜ貴様が許可を出す…!」
それを細い腕で押しのけて、不意にジロリ、と三成は元親を睨む。
そこに苛立ちはあっても、憎悪はない。
――これなら、叶うかもしれない。
おそらくは元親も、そんな期待を抱いているだろう。
三成の望み、そしてもう一人の願い。
『見つかるときは一時に』
――あれは失言だった。
『彼』が見つかっているとは、まだ知らせる期ではなかったのだ。
遡ること二週間前、幸村に秘密事を打ち明けた、小さな竜の囁き声。
『西海の鬼が石田のヤロウを見つけたらしいが…』
あんたには先に話しておきたい、と。
『家康のいばしょはおれが知ってる』
だが、かんたんに会わせる気はねえ。特に石田三成にはな。
まずはやつがどんなGuyになったか、様子を見させてもらうぜ!
ビシリと言い切って細い腕を組んだ伊達政宗、こちらはガイと言うよりキッドと呼ぶべき幼さだ。
――だが、幼いからと馬鹿にはできない。
幸村よりずっと長い、戦の『後』の記憶を持っている少年。
――佐助が、自分の最期を隠したのは、すぐそばにいるあの方のためだ。
三成と元親のすぐ後ろ――ココアと檸檬ティが運ばれていった席に、独眼竜は陣取っている。
どうやら予定通りに、もう一人も。
(お許しくだされ、石田殿)
――その激しい執着が、金色の照日を壊すためのものでないのなら、きっと政宗殿も徳川殿と会わせてくださるはず。
(嗚呼、それにしても)
隠し事は不得手にござる!
苛立つ三成になだめる元親、二人を前に幸村はきゅっと唇を結び、背中に汗をかく。
その隣では橙赤毛がてふてふと、隠し事をしているという意識さえなさそうな顔で、呑気に脚を揺らしていた。
つづく
++++++++
(あまりに明後日の方いっててもう最果ての名前出さないでいいよって言われたんですが、西軍甘味同盟は最果ての方で政宗・かすが・元就が甘味同盟なネタのリスペクトです)
17日になってますが午前零時で通販撤収させていただきました。遅ればせながら!
お申し込みへの返信と、入金+宛先いただいている方への発送は済んでおりますので、音沙汰ないぞという方はtopのメルフォからご連絡くださいませ~。
ハロウィンの方はしれっと続行中です。
閑話休題もぴぷーも瀬戸内瀬戸内で、いったい何故こうなったかって聞かれたら……最果ての方のハロウィンが大好きな元親兄貴の再録だったからだとか言ったらいい加減怒られるかしら……。
あ、あとほら、瀬戸内響嵐とか。
何やら長年サスダテ優先で後回しにしてきた瀬戸内熱が今来ている、そんな気もするのですが、いざ書いてみたら兄貴視点のサスダテになってしまって元就様の出番がない……そんなぴぷーでした。
ハロウィンも瀬戸内と見せかけてサスダテにしかならない風向きです。
合間にぴぷーとかコタミネ(これも今瀬戸内だ…)とか挟まるかもしれませんが、よっちりよっちりやっていきます。
※通販お申し込みは昨日まですべて返信済みです。
幸村(27)佐助(3)政宗(10)でお送りする最果て様より受信した例のぴぷーシリーズです。
ボートに乗るぞと電話が来た。政宗からだった。
仕事帰りのラーメン屋、箸に麺をつかんだまま元親は携帯に胡乱な目を向ける。
――確か明日は真田を交えて戦国会議の予定だったが。
「おいおい独眼竜よぉ、いきなり海か?」
『池だ、池。ボート!ヨットじゃねえよ』
電話の向こうの子どもの声は、大きな池のある公園の名をあげた。
『真田幸村にはもう連絡してあるからな』
Ah,小十郎に代わるぜ。
ごそごそと音がして、咳払いがひとつ。
『長曾我部か』
「おうよ」
小学生の声の甲高さはない。声変わりは大方済んでいるのだろう。それでもどこか細い。小学生の独眼竜を守る竜の右目は、まだ高校生だ。
『今回も世話になる』
「あんたは模試だったか、大変だな」
『社会人こそ暇じゃあねえだろう』
「まあな、だが休みは休みだ。有効に使わねえと」
使わなければ。
――見つからない。この右目や、竜や、虎の若子と同じように、戦の世にいたあいつらは。
麺をすすって、汁に映る電球の、黄色い丸い光を見る。
東に昇る太陽。
欠けることない日輪。
元親が心にかけるのは、正反対のお日様がふたつだ。
竜の右目は、ボートを漕ぐ際はくれぐれも気をつけてくれ、と念を押した。
「心配すんなって、そうそう頭に血は上らせねえよ」
面子が面子だ、竜がボートと言い出した理由は想像がつく。
『先日は俺が政宗様の舟を漕いだんだが、真田に適わずじまいだ……』
声に滲む悔しげな色は、必ずしも竜を敗北させたことばかりによるわけではなさそうだ。
――自分だって悔しい、ってか。
元親は笑って「まかせとけ」と答えた。
まだ熱いラーメンにすり下ろしのニンニクをすくい入れて。
「水の上なら負けなしよ、どーんと大船に乗った気でいな」
何しろ長曾我部元親と言えば、瀬戸海は庭の海賊だ。
「YES,だから西海の鬼、今日はあんたと勝負したい」
「あ?」
池を半周して、先にgoalした方が勝ちだからな!
九月も末、池をわたる風もずいぶん涼しくなってきたというのに、仁王立ちの独眼竜の脚はハーフパンツで太腿をさらしている。紺色の上着はトレーナーのような厚い生地にフードがついて温かげだ。
その紺と対になるような、渋い紅のセーターを着込んだ真田幸村。
元親とそう歳のかわらないこの男こそ、伊達政宗の宿命のライバルであり――てっきり、竜鬼同盟vs真田軍という枠になるものとばかり。
「長曾我部殿との勝負、全力でお受けいたす……!」
しかしその幸村は両の拳を握りしめ、政宗の側についている。
――まあいいけどな。
と元親は気をとりなおした。
「腕試しとなりゃあ俺も手は抜かねえぜ、吠え面かくなよ独眼竜!」
「Ha,俺のRivalにそう簡単に勝てると思うな西海の鬼ぃ!」
「では、長曾我部殿の舟にはこれを」
「ん?」
これ、と言われてつい受け取った舟の重石は、オレンジ色の毛が生えていた。
「んん?」
重石は緑のパーカーをもふもふと着込み、ガラス玉のような鳶茶の眼で元親を見上げ、真田のボートに乗り込む政宗に目を向け、また元親に目を戻し。
「なぜ」
と、つぶやいた。
若き武田の武将、真田幸村に陰に日向に着き従っていたその忍びのことは、元親もよく覚えている。
主と違って堅苦しいところがなく、ひょうひょうと戦働きを勤める男。元親の国を見て、「再就職先にいいかもね」と軽口を叩いた。元親も歓迎するぜと答えたものだ。それは、その男が武田を裏切るような人間ではなく――ただ万が一を考え、その先を前向きに生きられる奴なのだろうと、そう思ったからだ。
主の熱血さ、若さ堅さを補うように、殊更に熱くならず、時には老獪に、柳のような柔らかさで立ち居振る舞ってはいたが、作った笑顔でそれでも、真剣に生きる者を馬鹿にするようなことはなかった。
そんな印象をひっくるめて元親はその男を――猿飛佐助を、飄々としちゃあいるがイイやつだ、と思っていた。
その猿飛佐助は今、生まれ変わったこの現代で。
まだみっつの幼さで、元親の漕ぐボートの重石にされて、『世の無常さをはかなんでいます』という顔をしている。
いつからかは元親には預かり知らぬところだが、この幼子は――今は少し離れてスタート地点を目指すThe・六紋銭号(公園の貸しボート一時間八百円)に乗り込んだ独眼竜に、懸想しているのだった。
主である真田のだんなでもなくまさむねでもなく、なぜ自分は銀色ライオンの舟に乗っているのか。ああ無情。笑みさえ作らぬ顔は目の端も口元も、つつけば跡さえつきそうに柔らかげで、どんよりとした表情を隠さない。
「ぼんやりしてると落ちるぜ、ちび助」
「おちないもの」
ちびでもないもの。
元親には意外な姿の猿飛佐助だが、幸村いわく、元からこんなもんだった気がするらしい。酷い言われようだ。
(三歳児だぞ、おい)
――もしも毛利のやつなんかが見つかって、この歳だったら。
幼子のくせにむっつりと能面のような顔をして、貴様の存在が不愉快だとばかりに不機嫌オーラを滲ませていたら――。
(……、)
(意外と違和感ねえな)
忍びを目の前にしているためか、あっさりとそんな想像図が左の眼帯の下に描ける。
――たぶん、つまりは、それが毛利元就の『本音の顔』だからだ。
包み隠すところのない、計算のない、感情のままを出すなら、幼子も一緒。
真田幸村はこの忍びの『本音の顔』をよく知っていたのだろう。
考えてみれば元親自身、竜鬼同盟を誇った独眼竜がランドセルを背負っていたのにはそこまで驚かされなかった。伊達政宗は何だかんだで裏表のない男だったし――そういうこともあるのかと、頭を掻いたくらいである。どちらかと言うと隣に並ぶ竜の右目の、まだ伸び切らぬ背、まだまだ筋肉の薄い学ラン姿、独眼竜を見ては北国マジ羨ましいと思っていた白い肌のぴちぴちさ、エトセトラエトセトラ、の方が衝撃だったものだ。
そう言えば、と元親は、置いていかれた子犬のように離れた小舟を見つめるオレンジ赤毛に「なあ、」と声をかけた。
「お前さん、竜の右目には会ったんだったか?」
「あった」
呼ばれてもThe・六紋銭号を見つめたまま、幼子はこくんとうなずく。
「どう思ったよ。ほれ、独眼竜もだが、前はあんな年頃のあいつ、見たことなかったろ?」
「みぎめのだんな…」
考えるように目を伏せ元親の方に向き直ると、ちび助はわずかに首をかしげてみせた。
「あいかわらず」
「相変わらず?」
「かわらず」
そう繰り返して、自らも納得したように、こくこくとうなずく。
――やはり、この年にならねば分からないのか。あの若さの眩しさは。
何やらおじさんめいた考えに、元親はいけねえいけねえと首をふった。
「じゃあ独眼竜は?今のあいつも昔と変わりねえか?」
「まさむね?」
とたんに子どものまあるい目が、ぱっちりと開く。
「まさむね、……」
――そんな呼び方をしていただろうか。
元親の前でこの忍びが独眼竜の話をしていたことなどそうなかったのだから、耳慣れないのも不思議ではない。――それにしても。
先にスタート地点に着いた小舟に目をやり、元親を見上げて。
小さな忍びは美味しいものでも頬ばったように、両手でほっぺたをつつんで、へにゃっと笑った。
「てれちゃう」
「……おう?」
――照れちゃう?
何が?と、質問したのは元親自身であるというのに、元親は瞬きして首を傾げてしまった。
そもそもこの子どもが笑ったところなど、初めて見たような気さえする。
オールを漕ぐ手も止まったまま、ボートは流れてトンと岸にぶつかった。
「Hey,気合い入れてけよ!」
「お、おうよ!」
「元親殿、よろしければこのおんぶひもで佐助を腹に固定してはいかがかと」
「おう、悪いな」
「おれさま、よろしくない」
動揺しながらふりむけば、忍びはいつもの顔に戻っていた。
一度だけ。
――そう、一度だけ、猿飛佐助の前で独眼竜の話をした。
あれは天下の武将たちが西と東に二分されつつあった時のこと。
家康は裏切ったのだと、そう思わされた(ああ、あいつには、見事に騙された)元親は、家康の東軍に敵対する西軍へ参入した――その西軍に、真田幸村率いる武田軍もまた名乗りをあげていたのだ。
同じ西軍、とは言え肩を並べて進軍したわけではない。
大阪城で連判状に署名したのが、唯一全員で顔を合わせた時ではなかっただろうか。
西軍には石田三成、大谷吉継、真田幸村、長曾我部元親、小早川秀秋、黒田官兵衛、毛利元就が。
対する東軍には徳川家康、本田忠勝、伊達政宗、前田慶次、北条氏政、伊予の鶴姫、雑賀孫市が参入したらしいと、そう告げられた。
馴染んだ名が東方として読み上げられるたびに、人の不幸を好む大谷が笑み含んだ目で元親を見ていたが、『伊達政宗』の名に誰よりも大きく反応したのはやはり、真田幸村だ。
散会した後も目を見開き東に思い馳せる幸村の肩を、元親から叩いた。
――お互い古馴染みと戦うことになるな、と言うつもりだったが。
『心はやりますな、長曾我部殿……!』
敵意の欠片もないのに、三成と同じほどに東西の決戦を待ち望んでいることを知って、苦笑したものだ。
武田の忍び――真田忍隊隊長、猿飛佐助は、名こそ記さぬものの、真田の後ろに影のようにひかえていた。
『あんたはやりにくいかな?西海の鬼は独眼竜とも同盟結んでたろ』
『ああ……苦しいとこだがこの乱世だ。俺は俺で、家康とケリをつけなきゃならねえ』
『ま、あの男はどうせ真田の旦那の方につっこんでくるだろうさ。心配しなさんなって』
へらりと笑って、何でもないことのように手をふって見せる。
何でもない声。
『そうだな、しかし――言うまでもねえだろうが、独眼竜は強いぜ?』
『それは無論、』
『どうかなぁ』
――だが、主の言葉に割ってはいったその一瞬だけ。
いつになく苛立ったような響きに元親は、忍びを見た。
『俺様の見立てじゃ、奥州もかなり弱体化してる。地に落ちた何とやらってね』
冷たい空気がよぎった。
つまらなさそうな顔は愛想笑い一つ浮かべず、東の空に向いた鳶茶色の眼がガラス玉のように透明だ。
『……次に戦場で逢えるかどうかも怪しいぜ、ありゃ』
何を言うのだ佐助!そう真田幸村が叫んで、ぎゃいぎゃいと騒ぎになった。
――覚えているだろうか。少なくとも、自分は今まで忘れていた。
逢えるかどうか。
忍びは確かそう言ったのだ。戦えるかでなく、刃を交えられるかでなく。
照れなど欠片もない。笑顔さえ作らない。心の底から独眼竜を「地に落ちた」と言い切った冷たい声。
ただ、あの時あの忍びは確かに、隠しきれない『本音の顔』をしていたのだろう。目の前の幼子と重ねても違和感がない。
(難儀な男だな)
――しかしどうやら、そういうわけだ。
ボート競争は引き分けに終わり、元親は幸村と政宗に、幸村は元親と佐助にワゴン屋台のクレープを買った。いつも通りにもほどがある。
「Oh,ぶじか、たけだの忍び」
「ぶじ…」
どことなく疲れた顔で、佐助は政宗のトレーナーのすそをきゅっとつかんだ。
「まことに胸躍る勝負にございましたな、元親殿!」
幸村ばかりがキラキラした顔で、クレープを持たない右の拳を握っている。それに、「そうだな、」と笑って答えて。
「っつーかよ、例の件だ。今日はその相談がしたかったんだがよお」
電話ではすでに知らせている。
――こいつらに、会わせたいやつが見つかった。
見つけたのだ。あの頃同じ戦の世で斬り合った男を、この平らかな世で。
――ただ、あちらが平らかになっているとは、限らないのだが。
「Ah,まずは真田とちびとあんた、そいつの四人で会ってみろよ」
当然の口振りで政宗が言う。
やはりそうなるだろうか。と、元親は腕を組んだ。
西軍総大将、石田三成。
――あの苛烈な男が生まれ変わってどのようになったか、見極めるにはまずじっくり話し合わねばなるまい。
「とりあえず第一声が『家康を出せ!』だったからな」
「Oh…」
「先行き不安にござるな」
「ふあん」
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